進行IPFに対するピルフェニドン+吸入NACはピルフェニドン単剤よりも効果的

e0156318_9301181.jpg 昨年のATSの報告とNEJMの掲載について知らない呼吸器内科医はいないと思いますが、N-アセチルシステインは現時点ではIPFに対してネガティブと考えられています。

ATS2014:IPFに対するアセチルシステインはプラセボと差なし

 ただ、日本では錠剤ではなく吸入NACが使用されており、これについてはどうなのだろうかと現場で疑問は残ったままでした。
 経口N-アセチルシステインと吸入N-アセチルシステインの違いについて論文中に記載があります。そもそもN-アセチルシステインはグルタチオンの前駆物質であり、体内のグルタチオンの量を増やします。このグルタチオンの抗酸化作用がIPFに効果があるとされています。ただ、吸入N-アセチルシステインは直接肺胞に到達して作用するため、経口よりも効果が高いと考えられています(Thorax1994; 49: 670–5.、Eur J Respir Dis 1987; 70: 73–7.)。

Sakamoto S, et al.
Effectiveness of combined therapy with pirfenidone and inhaled N-acetylcysteine for advanced idiopathic pulmonary fibrosis: A case–control study
Respirology, Article first published online: 2 FEB 2015, DOI: 10.1111/resp.12477


背景および目的:
 特発性肺線維症(IPF)に対するピルフェニドン治療は、肺活量の減少を抑制し、無増悪生存期間(PFS)を延長させる。吸入N-アセチルシステイン(NAC)とピルフェニドンの併用療法の効果についてはよく分かっていない。われわれは、進行IPF患者に対するこの併用治療の効果について検証した。

方法:
 進行IPF(日本呼吸器学会stage III/IVのIPF)の診断を受け、努力性肺活量(FVC)が過去6ヶ月(±2ヶ月)に10%以上相対的に減少している患者を登録した。アウトカムは12か月フォローアップ時の呼吸機能検査とした。FVC10%以上の減少がある場合効果なし、FVC10%未満の減少は効果ありとした。臨床的特徴、効果、PFSをNAC+ピルフェニドン群(24人)とピルフェニドン単剤群(10人)で比較した。

結果:
 34人のIPF患者(59-82歳)から得られたデータを解析した。7人が副作用やコンプライアンス不良のため脱落した。そのため27人(男性23人、女性4人)が解析対象となった。
 12ヶ月フォローアップ時に、治療は併用群の17人中8人(47%)、ピルフェニドン単剤群10人中2人(20%)で効果がみられた。併用群では6ヶ月時のFVCの平均減少は210mLで、ピルフェニドン単剤群では610mLであった(P < 0.01)。また、併用群ではFVCの年減少は610mLであり、ピルフェニドン単剤群では1320mLであった(P < 0.01)。PFSは併用群の方が長かった(304日 vs. 168日、P = 0.016)。
 光線過敏症は1人のみにみられ、4人は消化器症状のため継続不能となった。吸入NACにより細菌性肺炎の報告も過去にあるが、本研究ではそういった有害事象は観察されなかった。

結論:
 進行IPF患者に対する吸入NACと経口ピルフェニドンの併用は、FVCの年減少を抑制し、PFSを改善させる。


by otowelt | 2015-02-17 00:41 | びまん性肺疾患

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