重症市中肺炎に対するメチルプレドニゾロン投与は治療失敗を減少させる
2015年 02月 19日
先日Lancetにも類似の報告が掲載されたのが記憶に新しいですね。
・入院を要する市中肺炎に対する全身性ステロイド投与は臨床的安定性をはやめる
TrialAntoni Torres, et al.
Effect of Corticosteroids on Treatment Failure Among Hospitalized Patients With Severe Community-Acquired Pneumonia and High Inflammatory ResponseA Randomized Clinical.
JAMA. 2015;313(7):677-686. doi:10.1001/jama.2015.88.
背景:
重症市中肺炎の患者において、治療の失敗はさらなる炎症正反応やアウトカム不良と関連している。ステロイドはこうした患者においてサイトカイン遊離を軽減するが、併用治療についてはいまだ議論の余地がある。
目的:
重症市中肺炎に対するステロイドの効果と高度炎症反応を調べること。
デザイン:
スペインの3病院で実施された多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。登録患者は重症市中肺炎で、入院時に高度炎症反応(CRP150mg/L超)がみられたものとした。患者は2004年6月から2012年2月まで登録された。
介入:
患者は入院36時間以内に、ランダムにメチルプレドニゾロン0.5mg/kg 12時間ごと(61人)あるいはプラセボ(59人)に5日間割り付けられた。
アウトカム:
プライマリアウトカムは治療失敗(早期治療失敗の複合アウトカム[ショックへの進展などの臨床悪化、人工呼吸器装着を要する、治療72時間以内の死亡]あるいは後期治療失敗の複合アウトカム[画像上の悪化、遷延性の重症呼吸不全、ショックへの進展、人工呼吸器装着を要する、治療開始後72~120時間での死亡]、およびこれら早期・後期の複合アウトカムの両方)とした。院内死亡率はセカンダリアウトカムとし、有害事象についても調べた。
結果:
両群とも使用した抗菌薬に差はみられず、セフトリアキソン+レボフロキサシンorアジスロマイシンのレジメンが最も多かった。PSIはI-IIIがメチルプレドニゾロン群18人(30%)、プラセボ群14人(24%)だった。PSI IVはそれぞれ21人(34%)・26人(44%)、Vは22人(36%)・19人(32%)だった。
メチルプレドニゾロン群の患者の方が治療失敗が少なかった(8人[13%] vs.18人[31%]) (P = .02)。ステロイド治療は治療失敗のリスクを減少させた(オッズ比0.34、95%信頼区間0.14-0.87; P = .02)。両群において院内死亡率に差はみられなかった(6人[10%] vs. 9人[15%]; P = .37)。メチルプレドニゾロン群では高血糖が18%にみられ、プラセボ群では12%にみられた(P = .34)。 (文献より引用)
結論:
高度炎症反応を伴う重症市中肺炎の患者に対して、急性期のメチルプレドニゾロン使用はプラセボと比較して治療失敗を減少させる効果がある。
・入院を要する市中肺炎に対する全身性ステロイド投与は臨床的安定性をはやめる
TrialAntoni Torres, et al.
Effect of Corticosteroids on Treatment Failure Among Hospitalized Patients With Severe Community-Acquired Pneumonia and High Inflammatory ResponseA Randomized Clinical.
JAMA. 2015;313(7):677-686. doi:10.1001/jama.2015.88.
背景:
重症市中肺炎の患者において、治療の失敗はさらなる炎症正反応やアウトカム不良と関連している。ステロイドはこうした患者においてサイトカイン遊離を軽減するが、併用治療についてはいまだ議論の余地がある。
目的:
重症市中肺炎に対するステロイドの効果と高度炎症反応を調べること。
デザイン:
スペインの3病院で実施された多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験である。登録患者は重症市中肺炎で、入院時に高度炎症反応(CRP150mg/L超)がみられたものとした。患者は2004年6月から2012年2月まで登録された。
介入:
患者は入院36時間以内に、ランダムにメチルプレドニゾロン0.5mg/kg 12時間ごと(61人)あるいはプラセボ(59人)に5日間割り付けられた。
アウトカム:
プライマリアウトカムは治療失敗(早期治療失敗の複合アウトカム[ショックへの進展などの臨床悪化、人工呼吸器装着を要する、治療72時間以内の死亡]あるいは後期治療失敗の複合アウトカム[画像上の悪化、遷延性の重症呼吸不全、ショックへの進展、人工呼吸器装着を要する、治療開始後72~120時間での死亡]、およびこれら早期・後期の複合アウトカムの両方)とした。院内死亡率はセカンダリアウトカムとし、有害事象についても調べた。
結果:
両群とも使用した抗菌薬に差はみられず、セフトリアキソン+レボフロキサシンorアジスロマイシンのレジメンが最も多かった。PSIはI-IIIがメチルプレドニゾロン群18人(30%)、プラセボ群14人(24%)だった。PSI IVはそれぞれ21人(34%)・26人(44%)、Vは22人(36%)・19人(32%)だった。
メチルプレドニゾロン群の患者の方が治療失敗が少なかった(8人[13%] vs.18人[31%]) (P = .02)。ステロイド治療は治療失敗のリスクを減少させた(オッズ比0.34、95%信頼区間0.14-0.87; P = .02)。両群において院内死亡率に差はみられなかった(6人[10%] vs. 9人[15%]; P = .37)。メチルプレドニゾロン群では高血糖が18%にみられ、プラセボ群では12%にみられた(P = .34)。
結論:
高度炎症反応を伴う重症市中肺炎の患者に対して、急性期のメチルプレドニゾロン使用はプラセボと比較して治療失敗を減少させる効果がある。
by otowelt
| 2015-02-19 00:52
| 感染症全般