MTXは肺障害のリスクを上昇させない?

e0156318_1454122.jpg メトトレキサート(MTX)による肺障害は、呼吸器内科医の間では間質性肺疾患の鑑別診断として有名です。しかし、MTXによる肺障害という概念そのものに疑問を呈する論文が報告されました。
 関節リウマチによる間質性肺疾患とほとんど区別できないなあとずっと悩んでいたのですが、シンプルになると診療しやすいかもしれません。

Richard Conway, et al.
Methotrexate use and risk of lung disease in psoriasis, psoriatic arthritis, and inflammatory bowel disease: systematic literature review and meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2015; 350 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h1269 (Published 13 March 2015)


背景:
 メトトレキサート(MTX)に関連した間質性肺疾患の頻度は不明であり、報告によっては関節リウマチの11.6%にものぼるとされている。MTX関連肺障害は、呼吸器感染症や関節リウマチそのものによる肺病変が混在している。近年の関節リウマチの臨床試験のメタアナリシスでは、MTXによる呼吸器感染症の増加は指摘されているが、非感染性の呼吸器病変は増加させないのでは、と考えられている。

目的:
 乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患に対してメトトレキサート(MTX)による治療を受けた患者の呼吸器疾患の相対リスクを調べること。

データ:
 2014年1月9日までのPubMed, Cochrane central register of controlled trials, Embase データベース。

研究:
 乾癬、乾癬性関節炎、炎症性腸疾患を有する成人に対してMTX vs. プラセボ・対照薬に割り付けたランダム化比較試験を登録。50人未満の研究や試験期間が12週未満の研究は除外した。3188のレビューのうち7つの研究が適格基準を満たした。

データ統合:
 2人の独立した研究者がデータベースを検索した。Mantel-Haenszelランダム効果法を用いて、全呼吸器有害事象、感染性呼吸器イベント、非感染性呼吸器イベント、間質性肺疾患、死亡について相対リスクを比較した。

結果:
 7の研究が適格基準を満たし、6試験がプラセボ対照となった(1試験でBriakinumab、1試験でAdalimumab/プラセボ使用研究あり)。研究の異質性は有意にはみられなかった。(I2=0%)。1630人のうち504人で呼吸器有害事象のイベントが報告された。
 MTXは呼吸器系有害事象イベントの増加と関連していなかった(相対リスク1.03, 95%信頼区間0.90 to 1.17)。また呼吸器感染症(相対リスク1.02, 95%信頼区間0.88 to 1.19), 非感染性呼吸器疾患(相対リスク1.07, 95%信頼区間0.58 to 1.96)についても相対リスクを上昇させなかった。呼吸器系による死亡は観察されなかった。
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(文献より引用)

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(文献より引用:呼吸器感染症)

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(文献より引用:非感染性呼吸器疾患)

結論:
 非悪性疾患に対するMTXの治療は呼吸器疾患のリスクを上昇させない。


by otowelt | 2015-04-07 00:30 | びまん性肺疾患

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