ATS2015:COPDGene試験から:吸入薬管理を受けているCOPD患者の急性増悪リスク因子:GERD、女性、高SGRQ

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 非常に参考になる研究です。ただ、男性の方が急性増悪による死亡が多いという報告(Respiration. 2013;85(1):15-26.)もあるので、急性増悪の頻度だけ女性が多いというのはロジックとして合わないなと思いました。基本的に男性の方がリスクが高いと私は思っています。ただ、繰り返す急性増悪は女性に多いという報告が本ATSの別のセッションで紹介されています(補足参照)。
 なお、現時点では過去の急性増悪歴が最たる急性増悪リスク因子と考えられています。GERD、肺高血圧症の存在もすでにリスク因子として報告されています。

R. Busch, et al.
Risk Factors for COPD Exacerbations in Inhaled Medication Users: COPDGene Study Biannual Longitudinal Follow-Up
ATS2015, B23, Poster Discussion Session


背景:
 これまでの研究において、COPD急性増悪がCOPDの臨床経過に与える影響は大きいことがわかっている。吸入治療は急性増悪リスクを減らすことができるが、COPD患者はそれでも頻繁に急性増悪を起こす。われわれは、COPDGene研究のデータを用いて、COPD急性増悪のリスク因子を同定した。

方法:
 チオトロピウム(TIO)、LABA/ICS、SABA・SAMA(SAB)を用いられたCOPD患者2489人のデータがCOPDGene研究から抽出された。薬剤使用(TIO/LABA/ICS, TIO, LABA/ICS, SAB)については患者の自己申告とし、過去1年に急性増悪を起こしたかどうかで患者群を分類した。

結果:
 各吸入薬使用群ごとに患者背景に差はみられなかった。
 多変量モデルにおいて、GERDの存在(トリプル吸入療法:オッズ比1.62 、95%信頼区間1.11-2.38、LABA/ICS:オッズ比1.96、95%信頼区間1.21-3.15)、女性(トリプル吸入療法:オッズ比1.53、95%信頼区間1.05-2.21、LABA/ICS:オッズ比1.90、95%信頼区間1.19-3.05)、高SGRQスコア(トリプル吸入療法:オッズ比1.02、95%信頼区間1.00-1.03、LABA/ICS:オッズ比1.03、95%信頼区間1.01-1.04)は有意に急性増悪を予測する因子であった。
 LABA/ICSと比較するとTIO単剤群の患者の方が急性増悪は少ない傾向にあった(オッズ比0.69、95%sン来区間0.45-1.06, p= 0.09)。また、気管支喘息の診断を受けていない(ACOS非合併)患者のリスクは低かった(オッズ比0.56、95%信頼区間0.31-1.00, p=0.05)。

結論:
 吸入薬による長期管理を受けているCOPD患者において、SGRQスコア、GERD、女性は急性増悪を予測するリスク因子であった。気管支喘息のないCOPD患者ではTIO単剤がリスクを減らす傾向にあると考えられる。


(補足)
 女性の場合、繰り返すCOPD急性増悪が多くなるという報告です。それでも全体からすればCOPD急性増悪そのものは男性の方に多いと考えられます。

E.R. Narewski, et al.
Short-Term Impact of Frequency of COPD Exacerbations on Quality of Life
ATS2015, B34, Thematic Poster Session



by otowelt | 2015-05-19 06:05 | 気管支喘息・COPD

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