ATS2015:COPDに対する吸入ステロイド薬が肺炎に与える影響

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「-- Such a benefit may be due to the immunosuppressive and anti-inflammatory effects of ICS treatment.」
と、会場にて。

結論づけるのは早いかと思います。

E. Gupta, et al.
Inhaled Corticosteroids and Risk of Incident Pneumonia and Mortality in Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD) Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis
ATS2015, D37, Thematic Poster Session


背景:
 吸入ステロイド薬(ICS)は、重症COPDで頻回に増悪を繰り返す患者に有用である。TORCH試験およびいくつかの過去の臨床試験では、ICSの使用によって肺炎が増加することが知られている。これらの研究は肺炎の有害事象報告を採用したものであり、胸部レントゲン写真において確認されているワケではない。肺炎が多いにも関わらず、肺炎に関連した死亡や総死亡が増加していない。このメタアナリシスでは、ICSに使用によって肺炎の増加が起こるのか、そしてそれが死亡にどのような影響を与えるのか調べたものである。

方法:
 COPD患者に対してICSを比較群に登録したランダム化比較試験あるいは観察研究(コホートないし症例対照)を本メタアナリシスに組み込んだ。電子データベースによって1994年から2014年までの研究を抽出した。

結果:
 38の試験が同定され、29がランダム化比較試験、9が観察研究であった。肺炎の非補正リスクはランダム化比較試験で上昇した(リスク比1.61; 95%信頼区間1.35-1.93, I2=37%, p<0.001)、観察研究ではオッズ比1.89(95%信頼区間1.39-2.59, I2=99%, p<0.001)。
 6のランダム化比較試験による肺炎関連死亡率の解析ではリスク比0.91(95%信頼区間 0.52-1.59, p=0.74, I2=0%)であったが、観察研究ではオッズ比0.72(95%信頼区間CI 0.59-0.88, I2=74%, p=0.001)であった。
 29のランダム化比較試験による総死亡率の解析ではリスク比0.95(95%信頼区間,0.85-1.05 I2= 0%, p=0.31)であったが、観察研究では総死亡リスクが減少した(オッズ比0.79; 95%信頼区間0.65-0.97, I2=83%, p=0.02)。

結論:
 ISによって肺炎のリスク(非補正)は上昇するが、肺炎関連死亡率および総死亡率はランダム化比較試験では差はみられなかった。しかしながら、観察研究では、肺炎関連および総死亡についてリスクの減少がみられた。しかし、これらの研究は高い異質性を有するものである。


by otowelt | 2015-05-21 10:39 | 気管支喘息・COPD

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