COPD患者の呼吸音は深吸気時に減弱するが安静呼吸時には増強する

e0156318_12284022.jpg 「そうか、大きく吸わせるから聴こえないのかもしれない!」と目からウロコの論文でした。
 2015年に入って、個人的に一番面白かった論文です。国立病院機構福岡病院の石松明子先生が筆頭著者です。

Akiko Ishimatsu, et al.
Breath Sound Intensity during Tidal Breathing in COPD Patients
Intern Med 54: 1183-1191, 2015


目的:
 COPDの患者では研究ごとに呼吸音の強さに乖離があり、主観的な研究ではその強さは減弱し(Chest 70: 341-344, 1976.、Thorax 33: 345-351, 1978.)、客観的な研究では減弱しない(Thorax 47: 674-679, 1992、Nara Igaku Zasshi (J Nara Med Ass) 49: 365-372, 1998、Thorax 50: 1285-1291, 1995.)と書かれている。
 そこで我々はCOPD患者の呼吸時の呼吸音の強さを評価した。

方法:
 20人の安定期COPD患者と20人の健常人が被験者となった。胸壁の6か所にマイクを設置し、呼吸音と口腔からの気流を記録した。呼吸は安静時呼吸および深呼吸の2パターンとした。オクターブバンドで周波数分析を行った。
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(文献より引用)

結果:
 ①安静時呼吸の場合、呼吸音は吸気呼気ともにCOPD患者では強く聴取されることがわかった。高音領域(400Hz超)では両群に差がみられた。加えて、高周波帯域の呼吸音は、CTにおける気腫スコアと相関していたが1秒量とは関連していなかった。口腔からの気流について両群に差はみられなかった。
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(安静呼吸時の呼吸音:文献より引用)

 ②深呼吸の場合、200~400Hz吸気音はCOPD患者の上肺および中肺領域で減弱した。呼気については両群に差はなかった。口腔からの気流は、COPD群の方が低かった。
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(深呼吸時の呼吸音:文献より引用)

結論:
 この研究によれば、COPD患者では深吸気時に気流が減弱することによって呼吸音の強さも減弱することがわかった。しかし、安静呼吸時にはむしろ呼吸音は増強した。


by otowelt | 2015-05-29 00:59 | 気管支喘息・COPD

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