緊急手術に際して挿管前エリスロマイシン投与は胃内容物を減少させる

e0156318_11404668.jpg 非常に面白い文献です。

Czarnetzki C, et al.
Erythromycin for Gastric Emptying in Patients Undergoing General Anesthesia for Emergency Surgery: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Surg. 2015 Jun 17. doi: 10.1001/jamasurg.2015.0306. [Epub ahead of print]


背景:
 全身麻酔で緊急手術を受ける患者は胃内容物の存在からこれの誤嚥リスクが高いと考えられている。エリスロマイシンは、胃の運動を促進させるはたらきを持つ。

目的:
 緊急手術を受ける患者の胃内容物に対するラクトビオン酸エリスロマイシの効果を評価する。

方法:
 このErythro-Emerge試験は単施設におけるランダム化二重盲検プラセボ対照試験であり、ジェノヴァ大学病院で前肢麻酔を必要とする緊急手術患者に実施された。132人の患者を2009年3月25日から2013年4月23日まで登録し、全ての患者はこの試験を完遂した。ランダム化は外傷による緊急手術か非外傷による緊急手術かで層別化した。ITT解析をおこなった。
 患者はランダムに静注ラクトビオン酸エリスロマイシン3mg/kgあるいはプラセボを挿管の15分前に投与された。患者は24時間フォロ-アップされた。

結果:
 プライマリアウトカムは胃内容がないかどうか(定義は挿管後の内視鏡検査で液体貯留40mL以下、固形物がない)とした。セカンダリアウトカムは胃残存物のpH値とした。

結果:
 胃内容物はエリスロマイシン群の66人中42人(64%)でみられず、プラセボの66人中53人(80%)と比較して有意に低かった(リスク比1.26、95%信頼区間1.01-1.57)。非外傷の緊急手術を受けた患者において、エリスロマイシンは胃内容物減少と統計学的に有意に関連していた(補正オッズ比13.4、95%信頼区間1.49-120、P = .02)。ただし外傷性の緊急手術では差はみられなかった(補正オッズ比1.81、95%信頼区間0.64-5.16、P = .26)。胃残存物のpH中央値(IQR)はプラセボを投与された36人で2(1-4)、エリスロマイシンを投与された16人で6(3-7)だった(P = .002)。エリスロマイシンの投与によって悪心(20 [30%] vs 4 [6%])、胃痙攣(15 [23%] vs 2 [3%])がプラセボより多く観察された。エリスロマイシン群で嘔吐したのは1人だった。

結論:
 緊急処置の前の全身麻酔の患者において、エリスロマイシンを投与することで胃内容物が減少し胃残存物の酸性がましになる。エリスロマイシンは特に非外傷性の患者に有効である。有害事象は軽度であった。


by otowelt | 2015-07-02 04:24 | 集中治療

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