胸部レントゲン写真をどのように説明するか

 胸部レントゲン写真の所見をどのように患者さんに説明すべきか、個人的な意見を記載したいと思います。まず、医療従事者と患者さんの間には大きな認識の違いがあることを知っておくべきです。


・左右が逆であることを患者さんは知らない
 こちらを向いている人物がうつった写真を見ると、向かって左の方にある手がその人の右手であることは誰でもわかります。しかし、胸部レントゲン写真やCT写真を説明するとき、多くの患者さんは向かって左側が右肺であることをわかっていません。これは胸部画像が一般の方々にとって普段見慣れない写真だからです。それにもかかわらず「この右肺のカゲなんですが・・・」と説明し始めると患者さんは(え?これって左じゃないの?)と疑問に思いながら話を聞くことになる可能性があるので、胸部の写真を説明する前にはかならず肺の左右について一言説明を添えることをおすすめします。現在は液晶画面で説明する病院も多いと思いますが、レントゲンフィルムがある場合には自分の胸にあてて向かって左が右肺です、と説明するとより理解が深まると思います。


・まず心臓に目が行く
 胸部レントゲン写真を見慣れていると、真ん中に心陰影がうつっていることが当たり前に感じます。しかし、普段見慣れていない患者さんは、大きな腫瘍のようなものが真ん中にうつっているように見えます。そのため、可能であれば目立つ正常構造物については説明することが望ましいと思います。その後に、左右の肺、心臓、大動脈、胃泡などを説明します。特に胃泡は高頻度で質問されますので「胃の空気、すなわちゲップですので正常です」と説明しています。
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図. 患者さんが気になる陰影

・実際の説明
 胸部レントゲン写真を説明する場合、個人的には以下のように説明しています。異常がないかどうか気にしている人が多く、つらつらと所見を述べても頭に入っていかないので、私は先に結論を伝えています。

「向かって左側、こちらが右の肺で、逆側が左の肺です。まず結論から申し上げると、今回のレントゲン検査で大きな異常はないと思います。
 レントゲン写真は全体的に黒くうつっていることが正常です。真ん中に見えている白いものは、これが血管で、これが心臓です。こういった心臓などに接するような部分に異常があると胸部レントゲンではうつりにくいことがあるので、必要があれば胸部CT検査を行います。真ん中から出ている白い線も、正常な血管です。ここにうつっている黒いものは胃の空気です。これが外に出るとゲップになるわけです。」



・胸部レントゲン写真?胸部X線?
 私は、普段の診療で「胸部レントゲン写真」と呼んでいますが、本によっては「胸部X線写真」と書かれているものもあります。おそらく後者の方が正しい医学用語だと思いますが、「レントゲン」という名前が患者さんや医療従事者に定着してしまっているため、現場ではレントゲンという言葉を用いる人が多いです。


by otowelt | 2015-08-18 00:41 | コラム:患者さんへの説明

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