呼吸機能検査が正常の喫煙者の半数以上は、実際には呼吸器系の障害がみられる

e0156318_8342322.jpg ACOSが当たり前の疾患概念になった現在、COPDの前段階として新たな疾患概念が提唱されると私は予想しています。どのような分野でも幅広く疾患概念を定義することは正論に違いありませんが、安易な診療の助長を招くのではないかと懸念しています。

Regan EA, et al.
Clinical and Radiologic Disease in Smokers With Normal Spirometry.
JAMA Intern Med. 2015 Sep 1;175(9):1539-49.


背景:
 呼吸機能検査における気流閉塞はCOPDの診断に広く使用されているが、気流閉塞のない現喫煙者や既往喫煙者はCOPDがないという定義に陥る。

目的:
 現喫煙者および既往喫煙者でCOPDの基準を呼吸機能検査上満たさない(GOLD 0期)コホートにおいて、臨床的および放射線学的に喫煙関連疾患を有する患者を同定すること。

方法:
 呼吸機能検査、胸部CT検査、6分間歩行検査、質問票を完遂したCOPDGeneコホートの参加者を登録した。患者はアメリカの21地域から登録された。COPDGeneコホートにおいて、GOLD 0期(4388人)(1秒率>70%、%1秒量≧80%)がGOLD 1期(794人)、COPD患者(3690人)、非喫煙者(108人)と比較された。登録期間は2008年1月から2011年7月。
 アウトカムは呼吸機能検査上の異常、呼吸器症状、胸部CT検査の異常、呼吸器系薬剤の使用、呼吸器系特異的なQOLの低下、とした。

結果: 
 1つ以上の呼吸器系の障害を有していたのはGOLD 0期の54.1%(2375人)であった。GOLD 0期の患者はQOLが不良で(平均SGRQスコア17.0 vs 3.8[非喫煙者と比較]、P < .001)、6分間歩行距離が低かった。また、GOLD 0期の42.3%(127人)に胸部CT上、気腫性変化や気道の壁肥厚がみられた。%1秒量の分布や平均値はGOLD 0期の患者では低い傾向がみられたが、それでもなお正常範囲であった。現喫煙はより呼吸器症状と関連していたが、既往喫煙は気腫やエアトラッピングと関連していた。また、加齢は禁煙エピソードやCT所見の異常と関連していた。呼吸器系に障害がある患者は、より呼吸器系の薬剤を使用される傾向にあり、これらの使用は疾患増悪に関連性があった。

結論:
 呼吸機能検査上COPDのない喫煙者では呼吸器疾患・障害はよくみられる。これらの結果に基づくと、アメリカでは、いまだに認識されていない呼吸器疾患・障害を有する55歳以上の3500万人の現喫煙・既往喫煙者がいるのではないかと推察される。


by otowelt | 2015-10-01 00:47 | 気管支喘息・COPD

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