知っておきたいCOPD治療薬:ロフルミラスト

e0156318_945442.jpg・ロフルミラストとは
 ロフルミラスト(EU:Daxas®、アメリカ:Daliresp®)は、経口ホスホジエステラーゼ4阻害薬で、気道の炎症を抑制する作用があります。重症のCOPD患者さんに対して、数年前から欧米で承認されています。日本では未承認です。1日1回500μg錠を内服します。


・ロフルミラストは奥の一手 ~REACT試験、ACROSS試験~
 コクランレビューにおいて、ホスホジエステラーゼ4阻害薬は、COPD患者に対する呼吸機能の改善と急性増悪の減少をもたらすとされています。ただし、実臨床における症状やQOL改善の度合いは極めて限定的と考えられているため、奥の一手として位置付けられています1)

 COPDに対するロフルミラストの臨床試験で最も有名なのは、REACT試験です2)。これは、すでに吸入治療を受けている重症COPD患者さんに対するロフルミラストの効果を検証した多施設共同プラセボ対照ランダム化比較試験です。患者さんはランダムに、ロフルミラスト500μg、あるいはプラセボを1日1回投与する群に割り付けられました。REACT試験のプライマリアウトカムである中等症以上のCOPD急性増悪の頻度は、ロフルミラスト群のほうが少ないという結果でした(intention to treat:率比0.868、95%信頼区間0.753~1.002、p=0.0529、per protocol:率比0.806、95%信頼区間 0.688~0.943、p=0.0070)。また、重症のCOPD急性増悪(intention to treat:率比0.757、95%信頼区間0.601~0.952、p=0.0175、per protocol:率比0.668、95%信頼区間0.518~0.861、p= 0.0018)や入院の必要性(率比0.761、95%信頼区間0.604~0.960、p=0.0209)についても、ロフルミラストの方が良好な結果でした(図)。
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図. COPD急性増悪に対するロフルミラストの効果2)

 アジア人に限ればACROSS試験のデータが参考になります3)。これはランダムに1:1にロフルミラスト500μg1日1回あるいはプラセボに24週間割り付けた研究で、プライマリアウトカムはベースラインから試験終了時までの気管支拡張薬投与前1秒量の変化と規定されました。その結果、プラセボと比較してロフルミラストはプライマリアウトカムを有意に改善しました(0.071L、95%信頼区間0.046~0.095L、 p <.0001)。

 じゃあどんどんロフルミラストをCOPDに使いましょう、というワケではありません。ロフルミラストの副作用として、下痢が多いことが知られています(10人に1人くらい)。これによって、体重減少を起こすことも分かっています。そのため、もし日本でロフルミラストが使用される日が来た場合、私たち臨床医は下痢と体重減少に注意する必要があります。欧米の医師に聞いてみると、1~2kgくらいは簡単に減るようなので元気のない高齢COPD患者さんには処方しない方がよいでしょう。


・COPDにおける最強の治療法
 2015年11月時点ではCOPDに対する最強の薬物治療は、トリプル吸入療法(LAMA/LABA/ICS)+テオフィリン+ロフルミラスト(+マクロライド)のようですが、そこまでやってもなかなか症状コントロールができないのが重症COPDです。実臨床で遭遇する重症COPDに対して、トリプル吸入療法+ロフルミラストがCOPD急性増悪を抑制するという報告があります4)。特に、過去に何度も急性増悪を起こした人には有効です。

 重症COPDの患者に対する治療選択肢は少なく、高齢者の患者さんの場合、テオフィリンが使いにくく、吸入アドヒアランスの維持が難しいことから効果的な経口治療薬が求められているのは間違いありません。ロフルミラストがその福音となるのかどうかは分かりませんが、将来的に副作用の少ない経口治療薬の選択肢が増えることを祈っています。


(参考文献)
1) Chong J, et al. Phosphodiesterase 4 inhibitors for chronic obstructive pulmonary disease. Cochrane Database Syst Rev. 2011 May 11;(5):CD002309.
2) Martinez FJ, et al. Effect of roflumilast on exacerbations in patients with severe chronic obstructive pulmonary disease uncontrolled by combination therapy (REACT): a multicentre randomised controlled trial. Lancet. 2015 Mar 7;385(9971):857-66.
3) Zheng J, et al. Roflumilast for the treatment of COPD in an Asian population: a randomized, double-blind, parallel-group study. Chest. 2014 Jan;145(1):44-52.
4) Muñoz-Esquerre M, et al. Roflumilast added to triple therapy in patients with severe COPD: a real life study. Pulm Pharmacol Ther. 2015 Feb;30:16-21.


by otowelt | 2015-10-23 00:57 | 気管支喘息・COPD

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