患者が用いる呼吸器症状の表現の感度・特異度

e0156318_1139191.jpg 患者さんの主観に特化した論文は面白いですね。

Chang AS, et al.
Prospective Use of Descriptors of Dyspnea to Diagnose Common Respiratory Diseases.
Chest. 2015 Oct 1;148(4):895-902.


背景:
 患者が自分の呼吸の不快感を表現するのは難しいかもしれないが、ほとんどの患者は経験上リストから選択することはできるだろう。この研究の主目的は、コモンな呼吸器疾患患者や難治性の呼吸困難感のある患者が呼吸不快感を表現する感度と特異度を調べることである。

方法:
 外来患者は15の呼吸器困難感に関する症状に対して「はい」「いいえ」で回答した。その後、最も現在の症状に近い3つの症状を選択してもらい、Hospital Anxiety Depression Scale-Anxiety subscale(病院不安うつスケール-不安サブスケール)を完遂した。その記述の感度、特異度、適中率を調べた。

結果:
 「呼吸努力感:"Work/effort"」に関する3つの記述がCOPD患者(68人)、呼吸筋疲労(11人)、不応性呼吸困難感(17人)の患者でよくみられる症状であった。
●COPD:I feel out of breath、My breathing requires effort、I cannot get enough air in
●呼吸筋疲労:I feel out of breath、My breathing requires effort、My breathing requires work
●不応性呼吸困難感(COPD13人、非COPD4人):I feel out of breath、My breathing requires work、My breathing requires effort
また、「胸がつまる感じ:"My chest feels tight"」は気管支喘息患者(22人)でよくみられ、感度38%、特異度88、陽性適中率40%、陰性適中率87%だった。間質性肺疾患患者(8人)では、「呼吸が浅い感じ:"My breathing is shallow"」で感度33%、特異度84%、陽性適中率13%、陰性適中率95%だった。恐怖感などの主観的な感情表現は、不安スコアが高い群でより多く報告される記述であった。

結論:
 満足のいく診断感度・特異度ではないが、「胸がつまる感じ」は気管支喘息に、「呼吸が浅い」は間質性肺疾患に独特の症状であった。感情的な表現は不安スコアの高い患者でよくみられた。


by otowelt | 2015-11-05 00:08 | 呼吸器その他

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