肺嚢胞は成人の7.6%に存在する

e0156318_10495259.jpg 呼吸器内科医にとって、非常に面白い論文です。

Tetsuro Araki, et al.
Pulmonary cysts identified on chest CT: are they part of aging change or of clinical significance?
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207653


目的:
 人口ベースコホートにおける肺嚢胞の頻度と自然経過を調べ、被験者の背景と呼吸機能に関連したCT上の嚢胞の特徴を記述すること。

方法:
 Framingham Heart Study (FHS)において、2633人の被験者(平均年齢59.3歳、50%が女性)のCT検査が評価され、肺嚢胞の頻度やその画像的特徴を調べた。これらの所見は、被験者の背景、呼吸機能検査、CT所見とは関連のない気腫の存在と照らし合わされた。過去のCT検査(インターバル中央値6.1年)とも比較された。

結果:
 肺嚢胞は2633人中200人(7.6%)にみられた(95%信頼区間6.6~8.7%)。40歳よりも若い被験者では観察されず、肺嚢胞の頻度は加齢とともに増えていった。
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(文献より引用:Figure3)

 少なくとも5つ以上の多発性の嚢胞は全被験者の0.9%にみられた。肺嚢胞のある被験者は、BMIが有意に低かった(p<0.001)。肺嚢胞は下葉末梢に孤立性にみられることが多く、時間を経ても変化することはほとんどなかった。肺嚢胞は呼吸機能に影響を与えなかったが(p=0.07–0.6)、DLCOには影響を与えた(p=0.03)。また、喫煙歴(p=0.1–0.9)や気腫(p=0.7)とは関連性がなかった。

結論:
 胸部CT検査における肺嚢胞は、肺の加齢性変化をみているかもしれず、40歳以上の成人に無症候性に起こる。またBMIやDLCOの低下と関連性があった。多発性の肺嚢胞をみた場合、嚢胞性肺疾患の可能性を評価する必要があるかもしれない。


by otowelt | 2015-11-06 00:36 | 呼吸器その他

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