BELT研究:黒人喘息患者におけるICS/LABAはICS/LAMAより秀でているわけではない

e0156318_946195.jpg JAMAからの報告です。Arg16Gly多型についても解析しています。


Michael E. Wechsler, et al.
Anticholinergic vs Long-Acting β-Agonist in Combination With Inhaled Corticosteroids in Black Adults With Asthma
The BELT Randomized Clinical Trial
JAMA. 2015;314(16):1720-1730.


背景:
 LABAの有効性と安全性にはまだ疑問がある。黒人に対するLABAのリスクは他の集団と異なる可能性がある。

目的:
 黒人の気管支喘息患者に対するICSの上乗せ効果として、LABAとチオトロピウムの効果・安全性を比較し、β2アドレナリン受容体(ADRB2)遺伝子のArg16Gly多型が治療反応性に関連しているかどうか調べた。

方法:
 2011年3月から2013年7月までに20施設において当該オープンラベル並行群間ランダム化試験を実施した。中等症から重症のアメリカ在住の黒人気管支喘息患者を登録した。
 NHLBIガイドラインにおけるステップ3あるいは4の併用療法(ICS+1日1回チオトロピウム[532人]あるいはICS+1日2回LABA[538人])を受けている患者の経過を18ヶ月まで追った。患者はベースライン時、1,6,12,18ヶ月時にジェノタイプの検査を受け、毎月質問票に答えた。
 プライマリアウトカムは全身性ステロイドを要する喘息発作を起こすまでの期間とした。セカンダリアウトカムはACQ、 Asthma Symptom Utility Index、喘息無症状日数質問票、1秒量、レスキュー使用、気管支喘息の悪化、有害事象とした。

結果:
 初回の喘息発作までの期間は、LABA+ICSとチオトロピウム+ICSで有意な差はなかった(1人年あたりの平均回数0.42 vs 0.37、率比0.90[95%信頼区間0.73 to 1.11], P = .31)。12ヶ月時の1秒量についても有意な差はみられなかった(LABA+ICS群:0.003 L vs チオトロピウム+ICS群:−0.018 L、群間差0.020L[95%信頼区間−0.021 to 0.061], P = .33)。18ヶ月時についても同様だった(−0.053 L vs −0.078 L; 群間差0.025L [95%信頼区間−0.045 to 0.095], P = .49)。18ヶ月時のACQスコアにも差はなかった(ベースラインからのスコア変化LABA+ICS群:−0.68 vs チオトロピウム+ICS群:−0.72、群間差0.04 [95%信頼区間−0.18 to 0.27], P = .70)。他の患者報告アウトカムについても同様だった。
 ADRB2のArg16Glyは両治療群の反応性に関連性はなかった。

結論:
 ICSで治療された気管支喘息の黒人患者では、LABAを加えても喘息発作までの期間をチオトロピウムと比較して改善しなかった。これらの結果は、ADRB2のArg16Gly多型に影響を受けなかった。LABA+ICSがチオトロピウム+ICSよりも秀でているわけではないと考えられる。


by otowelt | 2015-11-10 00:01 | 気管支喘息・COPD

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