肥満喘息

e0156318_135030100.jpg・肥満は喘息の大敵
 肥満の人は男女を問わず喘息のリスク因子であることが知られています1)-5)。単独で肥満による喘息が取り上げられることはあまりなく、あくまでリスク因子どまりで議論されることが多いのですが、私は“肥満喘息”として個別に扱い強調すべきと考えています。
 この肥満喘息は女性に多いとされており、私もそう実感しています5)。そのため、アトピー素因のある20~30代女性の喘息患者さんでBMIが25を超えている場合には体重変化に注意した方がよいです。ステップ4ということで経口ステロイドが導入されると、一気に体重が増える患者さんもいます。
 特に非アレルギー性の喘息では肥満の存在はリスクの上昇に大きく寄与します。さらに、子どもの頃から肥満だと、将来の喘息のリスクが高いとされています6)。飽食の時代、親は要注意です。
 肥満の患者さんでは物理的に上気道が閉塞しやすいため、下気道が閉塞しやすい喘息の症状をさらに悪化させます。また、閉塞性睡眠時無呼吸も併発することがあり、その身体的ストレスから喘息発作の閾値が下がると考えられています。
 そのため喘息という疾患に対して肥満は何ひとつメリットがないのです。


・肥満喘息の治療
 肥満喘息の治療は、まず減量です。吸入薬も同時に処方しますが、BMIが30を超えているようなケースでは何とかして減量に取り組んでもらうことをオススメします。減量なくして肥満喘息の改善は絶対にありません。減量することによって、喘息重症度を軽減し、気道過敏性、喘息コントロール、呼吸機能、QOLも改善させることがわかっています7)
 その他の治療は、通常の喘息と同じでよいです。あまりにも肥満が重度の場合には、心不全がないことを確認した上でLABAを上乗せした方がよいかもしれません。
 肥満喘息の患者さんはテオフィリンの血中濃度が上がりやすいことが知られているため、通常量で徐放製剤を処方する場合、テオフィリンの血中濃度を必ず測定するようにして下さい。個人的には、高齢者や肥満の患者さんであれば必ずテオフィリンの血中濃度を測定するようにしています。


(参考文献)
1) Camargo CA Jr, et al. Prospective study of body mass index, weight change, and risk of adult-onset asthma in women. Arch Intern Med. 1999 Nov 22;159(21):2582-8.
2) Young SY, et al. Body mass index and asthma in the military population of the northwestern United States. Arch Intern Med. 2001 Jul 9;161(13):1605-11.
3) Stenius-Aarniala B, et al. Immediate and long term effects of weight reduction in obese people with asthma: randomised controlled study. BMJ. 2000 Mar 25;320(7238):827-32.
4) Beuther DA , et al. Overweight, obesity, and incident asthma: a meta-analysis of prospective epidemiologic studies. Am J Respir Crit Care Med. 2007 Apr 1;175(7):661-6.
5) Wang L, et al. Sex difference in the association between obesity and asthma in U.S. adults: Findings from a national study. Respir Med. 2015 Aug;109(8):955-62.
6) Egan KB, et al. Childhood body mass index and subsequent physician-diagnosed asthma: a systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. BMC Pediatr. 2013 Aug 13;13:121.
7) Pakhale S, et al. Effects of weight loss on airway responsiveness in obese adults with asthma: does weight loss lead to reversibility of asthma? Chest. 2015 Jun 1;147(6):1582-90.


by otowelt | 2015-11-30 00:47 | レクチャー

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