UIP診断の観察者間一致は中等度(moderate)

e0156318_9301181.jpg 医療における多くの診断基準は、補助診断に用いるものであって、私たち医療従事者を感度特異度100%のスーパーマンにしてくれるシロモノではありません。ゆえに、definite UIPだ!と断言したとしても、その基準を構成している蜂巣肺や牽引性気管支拡張の所見の観察者間一致が低ければ、こういう結果になってしまいます。「人間の目」が介在している以上、避けられないlimitationです。
 ちなみにこれは放射線学、病理学の世界の両方に言えると思っています。

Simon L F Walsh, et al.
Interobserver agreement for the ATS/ERS/JRS/ALAT criteria for a UIP pattern on CT
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2015-207252


目的:
 経験年数の様々な胸部放射線科医が参加した研究に基づいた現行のATS/ERS/JRS/ALATによる胸部CTのUIP診断が孕む観察者間のバリエーションがどのくらいあるか調べる。

方法:
 線維性肺疾患を有する連続患者150人に対して、112人の観察者(96人が胸部放射線科医)がATS/ERS/JRS/ALATのUIP診断基準(UIP、possible UIP、inconsistent with UIPの3分類)に基づいて読影をおこなった。また、蜂巣肺、牽引性気管支拡張、気腫の存在についても3ポイントスケールを用いてスコアをつけた(確実にある、おそらくある、ないの3点)。UIP診断および3つのCTパターンにおける観察者間一致を調べた。また、経験年数による違いがあるかどうかも層別化解析した。

結果:
 112人の観察者間一致は中等度(moderate)であった。κ値は一般放射線科医で0.48(IQR0.18)、10~20年の経験を有する胸部放射線科医では0.52(IQR0.20)であった。UIPと、possible UIP/inconsistent with UIPの2パターンの判定に限定した場合も、観察者間一致は中等度(moderate)であった。MDT診断、患者年齢、経験年数による層別化をおこなった場合、一致レべルには有意な差は同定されなかった。蜂巣肺、牽引性気管支拡張、気腫の観察者間一致はκ値が0.59±0.12、0.42±0.15、0.43±0.18だった。

結論:
 現行のATS/ERS/JRS/ALATのUIP診断基準は、ほとんどの胸部放射線科医にとって中等度の観察者間一致しかみられない。それは経験年数よらず、患者年齢やMDT診断によっても異なるものではない。


by otowelt | 2015-12-15 00:14 | びまん性肺疾患

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