IPFや肺癌におけるL1-CAMの役割

e0156318_13274932.jpg 2疾患で上昇するバイオマーカーは臨床的には微妙な位置づけですが、IPFの原因を解明する上では有用な報告かもしれません。

Yingwei Zhang, et al.
Elevated sL1-CAM levels in BALF and serum of IPF patients
Article first published online: 27 NOV 2015, DOI: 10.1111/resp.12659


背景および目的:
 IPFは現行治療をもってしても予後不良である原因不明の間質性肺炎の1つである。最近の研究で、上皮間葉移行(EMT)はIPFや腫瘍の転移に重要な役割を果たすとされている。L1-CAMは腫瘍進展・転移の際のEMTと密接に関連している。われわれは、IPF患者におけるL1-CAMレベルについて調べた。

方法:
 明らかな臓器障害のない40人の連続患者(中国人。IPF16人、肺癌12人、慢性咳嗽12人)を登録した。BALF中の可溶性L1-CAM(sL1-CAM)、TGF-β1、血小板由来成長因子(PDGF)、インターフェロンγ、血清のsL1-CAMをELISAを測定した。

結果:
 IPF、肺癌、慢性咳嗽におけるBALF中のsL1-CAMはそれぞれ10.87 ± 0.88 ng/mL, 6.34 ± 0.67 ng/mL 5.43 ± 0.65 ng/mLであった。
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(文献より引用)

 さらに、血清sL1-CAMレベルは、IPF、肺癌、慢性咳嗽においてそれぞれ9.60 ± 1.41 ng/mL, 9.82 ± 0.72 ng/mL, 5.41 ± 1.07 ng/mLであった。IPF、肺癌の患者における血清sL1-CAMレベルは慢性咳嗽の患者と比べて有意に高くなった(P < 0.001)。

結論:
 IPF患者のBALFおよび血清のsL1-CAMは対照群と比べて有意に増加する。L1-CAMはIPFや肺癌の病態生理に関与する可能性を示唆する結果である。


by otowelt | 2015-12-28 00:46 | びまん性肺疾患

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