クリスマスBMJ:ホラー映画は“血が凍る”

e0156318_10323428.jpg クリスマスBMJ、10本目です。
 「bloodcurdling」という単語は、身の毛もよだつ、血も凍るようなという意味で、本当にbloodがcurdlingと関係しているのか調べたのがこの研究です。

Banne Nemeth, et al.
Christmas 2015: Infection Control
Bloodcurdling movies and measures of coagulation: Fear Factor crossover trial
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6367 (Published 16 December 2015)


目的:
 中世から言われてきたように、急性の恐怖は血液を凝固させるかもしれない。この真偽について調べた。

方法:
 クロスオーバー試験である。オランダのライデン大学の臨床疫学部の大会議室を即席の映画館に変身させた。参加者は、ライデン大学医療センターの30歳以下の24人の健常ボランティア(生徒、卒業生、職員)である。14人がホラー映画を観た後に教育的な(こわくない)映画を観る群、10人が教育的な映画を観た後にホラー映画を観る群に割り付けられた。映画は、ホラー映画は2010年の『インシディアス』、教育的な映画は2014年の『シャンパーニュの一年』。映画はそれぞれ90分。(同じ日に観るわけにはいかないので)2回目の映画は1週間以上間をあけて同じ時間帯で観た。
 アウトカムは、恐怖指数とも言える凝固系の測定に設定した。それぞれの映画の15分前に採血し、映画を観終わった後15分以内に2回目の採血をおこなった。凝固系の検査項目として、第VIII因子、D-ダイマー、TAT(トロンビン-アンチトロンビン複合)、プロトロンビンフラグメント1+2とした。セカンダリアウトカムとしてVASによってどのくらい恐怖を感じたか被験者に報告してもらった。

結果:
 すべての参加者が試験を完遂できた。VASによれば、ホラー映画は教育的映画よりもこわいことがわかった(当たり前だ)(平均差5.4、95%信頼区間4.7-6.1)。映画の前後における第VIII因子値の差は、ホラー映画の方が有意に高かった(平均差11.1 IU/dL [111 IU/L], 95%信頼区間1.2 to 21.0 IU/dL)。TAT、D-ダイマー、プロトロンビンフラグメント1+2については差はみられなかった。

結論:
 若い成人男女では、恐怖(本研究ではホラー映画)はトロンビン形成なしに第VIII因子の増加と関連していた。


by otowelt | 2015-12-18 06:37 | その他

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