急性非複雑性呼吸器感染症に対して抗菌薬を早期に用いない戦略の有効性

e0156318_123815.jpg 最近は患者さんが得られる情報も増えてきたため、「抗生物質下さい」とおっしゃる方が多いです。

Mariam de la Poza Abad, et al.
Prescription Strategies in Acute Uncomplicated Respiratory Infections
A Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. Published online December 21, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.7088


背景:
 抗菌薬をすぐに処方せずに後で処方すること(遅延処方:delayed antibiotics prescription)は、症状コントロールのために使用される抗菌薬の使用を減少させることに役立つ。その戦略にはいくつか異なるものがあるが、どれが最も効果的なのかは不明である。

目的:
 急性非複雑性呼吸器感染症(uncomplicated respiratory infections)において、当該遅延戦略の効果と安全性を検討する。

方法:
 われわれは、オープンラベルランダム化比較試験において、スペインの23のプライマリケアセンターから急性非複雑性呼吸器感染症の成人405人を登録した。
 患者はランダムに以下の1~4の戦略にランダム化割り付けされた。(1)患者主導の増悪時遅延処方戦略、(2)増悪時プライマリケアセンターを受診し、遅延処方する戦略、(3)即時処方戦略、(4)抗菌薬を処方しない戦略。遅延処方戦略は、症状増悪あるいは受診数日後改善がない場合だけ抗菌薬を内服することとした。
 プライマリアウトカムは有症状期間および症状重症度とした。各症状は6点満点のLikertスケールを用いた(3~4点が中等症、5~6点が重症)。セカンダリアウトカムは、抗菌薬の使用、患者満足度、抗菌薬の効果の患者信頼性とした。

結果:
 合計405人の患者が登録され、398人が解析された。136人(34.2%)が男性で、平均年齢は45±17歳だった。症状重症度の平均は、Likertスケールで1.8~3.5点まで幅がみられ、平均期間は初回受診から6日間だった。初診時の平均一般健康ステータスは、0~100スケールで54±20だった。314人(80.1%)が非喫煙者で、372人(93.5%)が呼吸器合併症を有していなかった。初診時の症状頻度は、上記4群で同等だった。
 重症の症状を呈した平均期間は、抗菌薬即時処方群で3.6±3.3日、処方しない群で4.7±3.6日だった。重症症状を呈した期間の中央値(四分位範囲)は、増悪したらプライマリケアセンター受診する群で3(四分位範囲1-4)日間、抗菌薬内服指示群で3(四分位範囲2-6)日間だった。最重症症状の中央値(四分位範囲)は即時処方群とプライマリケアセンター受診群で5(四分位範囲3-5)日間、抗菌薬内服指示群で5(四分位範囲4-5)日間、処方しない群で5(四分位範囲4-6)日間だった。
 抗菌薬を処方しな群あるいは遅延戦略群において、抗菌薬使用量は少なく、抗菌薬の効果をさほど信頼していなかった。患者満足度は全群同等だった。

結論:
 抗菌薬を遅れて処方する戦略は、即座に処方する戦略と比べて、症状重症度・期間のわずかな増大を招いたものの臨床的には同等で、かつ抗菌薬使用量も減少した。


by otowelt | 2016-01-12 00:25 | 感染症全般

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