重症喘息に対するマグネシウムの経静脈投与は死亡率に利益なし

e0156318_12254076.jpg 奥の一手、伝家の宝刀、おまじない・・・。さまざまないわれのあるマグネシウム。その喘息に対する位置づけをさぐった貴重な報告です。

Junko Hirashima, et al.
Effect of intravenous magnesium sulfate on mortality in patients with severe acute asthma
Respirology, Article first published online: 18 JAN 2016,DOI: 10.1111/resp.12733


背景および目的:
 硫酸マグネシウムの経静脈投与は重症喘息発作の補助的な治療に用いられる。しかしながら、過去のランダム化対照試験では、その効果はまちまちであり、致死的喘息に対する死亡率に対する効果は検証されていない。この研究の目的は、硫酸マグネシウムの経静脈投与が重症喘息患者の死亡率にどのような効果をもたらすか調べることである。

方法:
 ステロイドの経静脈投与および酸素療法を要する重症喘息患者を、DPC入院データベースから抽出した。硫酸マグネシウムの経静脈投与をおこなわれた患者とおこなわれていない患者の間で傾向スコアマッチを行った。プライマリアウトカムは、7日、14日、28日死亡率とした。セカンダリアウトカムは、入院中のステロイドの投与量、人工呼吸器装着期間、入院期間とした。

結果:
 14122人の患者のうち、619人に硫酸マグネシウムが投与されていた。傾向スコアマッチにより、599人のペアコホートを作成した。硫酸マグネシウムの投与による28日死亡率には差はみられなかった(1.3% vs 1.8%, P = 0.488)。また、ステロイド投与量(2400 mg vs 2400 mg, P = 0.580)、人工呼吸器装着期間中央値(1日 vs 1日, P = 0.118)、入院期間中央値(16日 vs 13日、 P = 0.640)にも差はみられなかった。

結論:
 重症喘息発作に対する硫酸マグネシウムの経静脈投与には、死亡率という意味では有意な利益はなかった。


by otowelt | 2016-02-01 00:58 | 気管支喘息・COPD

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