悪性胸水は経過とともに滲出性の度合いが低下し、酸性に傾いていく

e0156318_1023537.jpg 横断的なデータを用いた者が多かったので、非常に参考になる論文です。

Rajesh Thomas, et al.
Longitudinal Measurement of Pleural Fluid Biochemistry and Cytokines in Malignant Pleural Effusions
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.01.001


背景:
 悪性胸水(MPE)はよくみられる病態である。これまでのMPEに関する文献は、横断的サンプリングによる報告に限定されており、経時的な生化学的変化について記したものはない。胸腔内留置カテーテル(IPC)によって経時的に検体を採取することで、MPEの性状がどのように腫瘍進展とともに変化しているのか分かるかもしれない。

方法:
 638のMPE検体を103人の患者のIPCから中央値で95日間(0-735日)かけて採取した。胸水中のpH、LDH、糖が調べられた。また、末梢血のヘマトクリット、血小板、白血球、総蛋白、アルブミンも測定された。サイトカインの指標として、35人の悪性胸膜中皮腫の患者からの298検体を用いてMCP-1、VEGF、IL-6,8,10、TNF-α、IFN-γが測定された。経時的変化を線形混合モデルを用いて解析した。

結果:
 経過とともに、胸水中の蛋白が有意に減少した(8g/L/100日(標準誤差1.32; p<0 .0001)、またpHも減少した(0.04/100日, 標準誤差0.02; p=0.0203)。LDHは有意ではないが、上昇傾向がみられた。胸水/血中蛋白比は経時的に減少した(0.06/100日、標準誤差0.02; p=0.04)。
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(文献より引用:胸水蛋白およびpHの推移)

 悪性胸膜中皮腫のMPEでは、胸水糖がベースラインから低下しており、これは非悪性胸膜中皮腫のMPEよりも低下速度が速やかであった(p=0.0423)。悪性胸膜中皮腫のMPEでは、log (MCP-1)の経時的増加がみられた(log 0.37 pg/ml/100日, 標準誤差0.13; p=0.0046)が、他のサイトカインでは観察されなかった。

結論:
 MPEは疾患進行とともに、滲出性でなくなっていき、酸性に傾いていく。MCP-1の増加は、MPEの病態生理学的な役割を支持するものである。


by otowelt | 2016-02-02 00:04 | 肺癌・その他腫瘍

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