非小細胞肺癌に対してルーチンに遺伝子異常を調べる意義

e0156318_10552988.jpg 肺癌のリサーチアンケートでも、遺伝子変異の検査オーダーから結果取得までの期間を問うものが多いですよね。

Fabrice Barlesi, et al.
Routine molecular profiling of patients with advanced non-small-cell lung cancer: results of a 1-year nationwide programme of the French Cooperative Thoracic Intergroup (IFCT)
Lancet, 2016, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)00004-0


背景:
 進行非小細胞肺癌(NSCLC)の患者において既知の遺伝子異常を調べることは、ルーチンとして推奨されている。しかしながら、この理念に基づくアウトカムの影響が好ましいものであるかどうかはまだ定かではない。われわれは、フランス国内の患者背景、遺伝子プロファイル、臨床アウトカムを1年の試験期間を設けて調査した。

方法:
 進行NSCLC患者に対して、EGFR変異、ALK再構成、HER2変異、KRAS変異、BRAF変異、PIK3CA変異をフランス28施設で調べたデータを用いた。2012年4月から翌年4月までの1年の期間で調査を実施した。上記遺伝子異常の頻度を調べ、その異常を患者の臨床アウトカムと対比させた。

結果:
 17664人のNSCLC患者に18679の遺伝子解析が行われた(年齢中央値64.5歳、65%が男性、81%が喫煙者あるいは既喫煙者、76%が肺腺癌)。解析開始から結果報告までの期間の中央値は11日(IQR7-16)日であった。解析したうち、遺伝子学的な異常がみられたのは50%であった。EGFR変異が最も多く、17706解析のうち1947(11%)、HER2変異は11723解析のうち98(1%)、KRAS変異は17001解析のうち4894(29%)、BRAF変異は13906解析のうち262(2%)、PIK3CA変異は10678解析のうち252(2%)、ALK再構成は8134解析のうち388(5%)だった。解析時のフォローアップ期間中央値は24.9ヶ月(95%信頼区間24.8–25.0)だった。遺伝子異常の存在は、8147人のうち4176人(51%)に対してファーストライン治療に影響を与え、ファーストライン治療の良好な奏効率に関連していた(遺伝子異常があるケース:37% [95%信頼区間34.7–38.2] vs 遺伝子異常がないケース:33% [95%信頼区間29.5–35.6]、p=0.03)。セカンドライン治療でも同様だった(同17% [15.0–18.8] vs 9% [6.7–11.9]; p<0.0001)。遺伝子異常の存在は、同異常がないケースと比較して、ファーストラインの無増悪生存期間(10.0ヶ月[95%信頼区間9.2–10.7] vs 7.1ヶ月[6.1–7.9]; p<0.0001)、全生存期間(16.5ヶ月[95%信頼区間15.0–18.3] vs 11.8ヶ月[10.1–13.5]; p<0.0001)の改善と関連していた。

結論:
 遺伝子異常の頻度、結果取得までの時間、その異常の頻度、臨床的優位性の観点からも、NSCLC患者の遺伝子異常をルーチンに調べることが望ましい。


by otowelt | 2016-02-03 00:33 | 肺癌・その他腫瘍

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