IPFに対するニンテダニブ・ピルフェニドンの両薬剤は死亡アウトカムに対して有効性なし

e0156318_10143390.jpg 2015年のERSでNathan医師が報告した結果と概ね同様の結果です。死亡率や生存期間に対する効果は少なくとも1~2年程度では差がみられておりません。長期フォローアップによっては差が出るかもしれませんが、IPFそのものの悪化によって2年以降の生存曲線が厳しい結果になってきますので、やはり議論は堂々巡りのように思われます。

W. Canestaro, et al.
Drug Therapy for Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Systematic Review and Network Meta-Analysis
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.013


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は原因不明の慢性線維性間質性肺疾患の1つである。近年、ニンテダニブとピルフェニドンはその疾患進行を抑制するということで、FDAにも承認された。IPFに対する治療には様々なものが開発されてきたが、死亡率を有意に減少させるという結果はいずれの薬剤でも得られていない。この研究の目的は、全てのIPFに対する薬物治療を同定し、その効果をネットワークメタアナリシス・ペアワイズ間接比較で評価した。ただし、ステロイド治療については評価していない。

方法:
 MEDLINE, EmBase, Cochrane Libraryから2014年8月以前のデータを抽出した(ステロイド以外の治療法で、英語文献によるもの)。努力性肺活量、総死亡、呼吸器系特異的死亡といったキーアウトカムを解析。すべてのアウトカムはベイジアンアプローチによって解析された。

結果:
 30の適格基準を満たした研究で、16の治療法が評価された。固定効果およびランダム効果モデルの両方において、呼吸器系特異的死亡率についてはいずれの治療法もプラセボを統計学的に上回らなかった。総死亡について、ピルフェニドンおよびニンテダニブは固定効果モデルでは微小な効果が推定されただけであった(帰無仮説をまたぐ)。呼吸器系特異的死亡率、総死亡、努力性肺活量の減少に対して、ニンテダニブとピルフェニドンには差がなく、いずれも優位性を有していなかった。

結論:
 努力性肺活量の減少抑制効果に基づいて適応となったIPF治療薬のニンテダニブ・ピルフェニドンは、死亡率のアウトカムに対して明確な優位性を持たない。


by otowelt | 2016-01-26 00:17 | びまん性肺疾患

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