両側気胸の原因:バッファローチェスト(Buffalo chest)

e0156318_839409.jpg 両側気胸をみたとき、こういった病態も鑑別に挙げましょう。

Adam Jacobi, et al.
Bilateral Pneumothoraces After Unilateral Lung Biopsy: A Case of 'Buffalo Chest'?
Am J Respir Crit Care Med. First published online 22 Jan 2016 as DOI: 10.1164/rccm.201509-1850IM


概要:
 81歳の男性が湿性咳嗽と両側肺結節影を呈して来院し、その生検を実施することとなった。CTガイド下生検で、右下葉の結節影は肺腺癌と判明した。軽度の右気胸がみられたが、驚くべきことにその気胸は左側へも波及した。胸腔ドレーンなどの侵襲的処置を行わず、両側気胸は改善した。
 「バッファローチェスト(Buffalo chest)」という言葉がある。これは、1つの胸腔に両肺が梱填されているという、動物の奇妙な解剖学的構造に由来する言葉である。過去の文献では、バッファローチェストをきたした症例はほぼ全例過去に外科手術(食道・心血管・肺)を受けた患者であり、手術によって縦隔バリアの破綻をきたしたことに起因するとされている。また、まれではあるが、先天性に両側胸腔が交通している事例も報告されている(The British Journal of Radiology, 79 (2006), e22–e24.)。
 この81歳の患者は過去に外科手術を受けておらず、また嚢胞性肺疾患も有していなかった。胸部CTでも縦隔に異常はみられていない。すなわち、先天性のバッファローチェストであると考えられる。もちろん肺癌の胸膜転移により縦隔バリアが破綻していた可能性は残るが。


by otowelt | 2016-02-16 00:18 | 呼吸器その他

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