成人市中肺炎に対する抗菌薬使用についてのシステマティックレビュー

e0156318_16271270.jpg 市中肺炎における抗菌薬使用のシステマティックレビューです。

Jonathan S. Lee, et al.
Antibiotic Therapy for Adults Hospitalized With Community-Acquired Pneumonia
A Systematic Review
JAMA. 2016;315(6):593-602. doi:10.1001/jama.2016.0115.


背景:
 抗菌薬治療は市中肺炎(CAP)に対する医療マネジメントの根幹をなす。

目的:
 抗菌薬治療における3側面の関連性を調べた。すなわち、抗菌薬開始のタイミング、初期抗菌薬の選択、静注→経口抗菌薬への移行の3点と、成人入院CAP患者における短期的死亡率との関連性である。

エビデンスレビュー:
 MEDLINE, EMBASE, Cochrane Collaborationデータベースから成人入院CAP患者に関する研究を1995年1月1日から2015年11月5日まで抽出した。

結果:
 20の試験(17の観察研究、3つのランダム化比較試験)が適格基準を満たした。
 8つの観察研究のうち、大規模な4試験では抗菌薬開始が病院到着から4~8時間以内であれば、死亡率は相対的に5%~43%減少すると報告されていた。小規模な4試験では、この関連性は認められなかった。
 1つのクラスターランダム化比較試験では、βラクタム単独とβラクタム+マクロライド併用とを比較するとβラクタム単独群で90日死亡率が補正差2.5%(90%信頼区間-0.6%~5.2%)減少した(単独群がよいとする結果)。2つ目のランダム化比較試験では、βラクタム単独治療はβラクタム+マクロライド併用療法と比較して入院7日目の臨床的安定性のアウトカムにおいて非劣性を示せなかった(差7.6%、片側90%信頼区間上限13.0%)(併用群の方がよいとする結果)。
 8つの観察研究のうち6つではβラクタム+マクロライドの併用療法は、短期的死亡率の26~68%の相対的減少と関連していた。また、3つの観察研究ではフルオロキノロン単独はβラクタム単独より短期的死亡率の30~43%の相対的減少と関連していた。
 1つのランダム化比較試験では早期の静注→経口の変更によって入院期間が有意に減少したが(絶対差1.9日、95%信頼区間0.6-3.2日)、客観的臨床基準にもとづいて静注→経口に変更した場合に治療失敗の差はみられなかった。

結論:
 成人入院CAP患者において、βラクタム+マクロライド併用あるいはフルオロキノロン単独の抗菌薬治療を病院到着4~8時間以内に開始することで、短期的な死亡率を減少させることができる。しかし、これは主には観察研究に基づく結論である。1つのランダム化比較試験によれば、客観的臨床基準に基づいて静注→経口へ抗菌薬を変更することが支持される。


by otowelt | 2016-02-12 00:22 | 感染症全般

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