HIV関連クリプトコッカス髄膜炎にステロイドは不要?

 なんでもかんでもステロイド、というわけにはいかないようです。

Justin Beardsley, et al.
Adjunctive Dexamethasone in HIV-Associated Cryptococcal Meningitis
N Engl J Med 2016; 374:542-554


背景:
 HIV感染症に関連するクリプトコッカス髄膜炎により、世界で年間60万人を超える死者が出ている。当該疾患の治療法はここ20年間ほとんど変化しておらず、承認間近の新しい抗クリプトコッカス薬も出ていない。一部の集団において、別の原因による髄膜炎患者にステロイドを使用すると死亡率が低下することが示されているものの、クリプトコッカス髄膜炎患者ではまだ検証されていない。

方法:
 二重盲検ランダム化プラセボ対照試験において、ベトナム、タイ、インドネシア、ラオス、ウガンダ、マラウイでHIV関連クリプトコッカス髄膜炎の成人患者を集めた。全例に、アムホテリシンB+フルコナゾールの併用投与に加え、デキサメタゾンまたはプラセボを6週間投与。

結果:
 合計451人を登録したが、試験は安全性を理由に中止された。10週までの死亡率はデキサメタゾン群 47%、プラセボ群41%で(デキサメタゾン群のハザード比1.11、95%信頼区間0.84~1.47、P=0.45)、6ヶ月までの死亡率はそれぞれ57%、49%(ハザード比1.18、95%信頼区間0.91~1.53、P=0.20)だった。
 10週時点で障害が認められた患者はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも多かった。事前に規定した良好な転帰を示した患者の割合はそれぞれ13%、25%だった(オッズ比0.42、95%信頼区間0.25~0.69、P<0.001)。有害事象の頻度はデキサメタゾン群のほうがプラセボ群よりも高く(667件 vs 494件、P=0.01)、より頻度が高かった有害事象はグレード3~4の感染症(48人 vs 25人、P=0.003)、腎イベント(22人 vs 7人、P=0.004)、心イベント(8人 vs 0人、P=0.004)だった。髄液中菌クリアランス速度はデキサメタゾン群のほうが遅かった。

結論:
 デキサメタゾンの投与によって、HIV関連クリプトコッカス髄膜炎患者の死亡率は低下せず、有害事象と障害の頻度はプラセボより高いという結果だった。


by otowelt | 2016-02-25 00:03 | 感染症全般

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