外科レジデントの勤務時間には柔軟性を持たせるべきか?

e0156318_926294.jpg ACGME規定の群に割り付けられたレジデントはどういう気持ちだったでしょうね。「じっくり研鑽を積みたいのに困るなぁ」という人と「QOLが維持できる、やった!」という人に二分されたでしょうか。

Karl Y. Bilimoria, et al.
National Cluster-Randomized Trial of Duty-Hour Flexibility in Surgical Training
N Engl J Med 2016; 374:713-727


背景:
 外科のレジデントの勤務時間についての現行方針が、患者のアウトカム、レジデント教育、レジデントの健康に与える影響には、懸念がある。

方法:
 アメリカの117の一般外科研修プログラムを対象に、クラスターランダム化非劣性試験を実施した(2014~2015年)。外科研修プログラムについては、アメリカ卒後医学教育認定評議会(ACGME)による勤務時間の指針(標準群)と、シフトについての規則を適用しない柔軟な指針(柔軟群)にランダムに割り付けた。30日時点での術後死亡または重篤な合併症の発生率をプライマリアウトカムとした。また、術後合併症、レジデントの健康などのアウトカムについても評価した。

結果:
 138691例の患者データの解析によれば、柔軟群において死亡や重篤な合併症の発生率上昇との関連は観察されなかった(柔軟群9.1% vs 標準群9.0%、P=0.92、非補正オッズ比0.96、92%信頼区間0.87~1.06、P=0.44)。外科レジデント4330 人のうち、柔軟群のレジデントが標準群のレジデントと比較して教育のクオリティ全体に不満を持っている割合が大きいという結果も観察されなかった(柔軟群11.0% vs 標準群10.7%、P=0.86)。また、レジデントの健康に対する不満も同様の結果だった(柔軟群14.9% vs 12.0%、P=0.10)。柔軟群のレジデントは、標準群のレジデントと比べて勤務時間が患者ケアやレジデント教育などにマイナスの影響があると認識する頻度は少なかったが、個人的な活動にマイナスの影響があると認識する傾向がみられた。レジデントの疲労が自身・患者の安全性に影響を与えているという認識には群間差はなかった。柔軟群のレジデントは、標準群のレジデントと比較して、手術中に退室した割合(7.0% vs 13.2%、P<0.001)、患者の問題を引き継いだ割合(32.0% vs 46.3%、P<0.001)が低いという結果だった。

結論:
 外科レジデントの勤務時間について、柔軟性を持たせることは標準的なACGMEの方針と比べて患者アウトカムに対しては非劣性で、レジデント自身の健康や教育に対する満足度にも有意差はなかった。


by otowelt | 2016-03-09 00:03 | その他

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