喘息の新治療薬:ヌーカラ®
2016年 03月 11日
先日、喘息治療薬であるメポリズマブ(ヌーカラ®:グラクソスミスクライン社)が二部会より承認されました。少しこの薬剤について簡単に勉強してみましょう。
メポリズマブは、ヒト化抗インターロイキン5抗体です。オマリズマブ(ゾレア®)とは異なり、インターロイキン5をターゲットにしています。ゾレア®と同様に好酸球が関与するアレルギー性の喘息に有効とされています。DREAM試験ではメポリズマブ投与群で末梢血好酸球の減少とともに喘息発作の頻度が軽減したと報告されました1)。 (DREAM試験:文献より引用)
既に高用量ICSを使用している好酸球絶対数が150/μL以上の喘息患者さんを、メポリズマブ(75mg 4週ごと静注、100mg 4週ごと皮下注)とプラセボにランダムに割り付けたMENSA試験でも、喘息発作を起こした患者さんの数は有意にメポリズマブ群で少ないという結果が得られました2)。 (MESA試験:文献より引用)
言わずと知れたPowell医師のコクランレビューが既に出ていますが、現時点では臨床試験の数が不足しており、プラセボと比較して好酸球性喘息には有効であるものの、一体どういった位置づけになるのか定まっていません3)。
皮下注によるバイオアベイラビリティは74%とされています4)。
経口ステロイドの減量効果もあるので、長期にプレドニン®を使用しているステップ4の患者さんにとってはよい適応になるかもしれません。現時点でゾレア®との比較はありませんが、投与量が一定であること、IgEの測定が不要(好酸球数はルーチンで測定している病院が多い)など、現時点では優位性が多いかもしれません。とはいえ、ゾレア®もヌーカラ®もやはり薬価が1つの障壁になるのですが・・・。
現時点では、“好酸球性喘息の奥の一手としてヌーカラ®”と覚えてしまってよいでしょう。
(参考文献)
1) Pavord ID, et al. Mepolizumab for severe eosinophilic asthma(DREAM) :a multicentre, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2012 Aug 18; 380(9842) : 651-9.
2) Ortega HG, et al. Mepolizumab treatment in patients with severe eosinophilic asthma. N Engl J Med. 2014 Sep 25; 371(13) : 1198-207.
3) Powell C, et al. Mepolizumab versus placebo for asthma. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 27;7:CD010834.
4) Pouliquen I, et al. Characterization of the relationship between dose and blood eosinophil response following subcutaneous administration of mepolizumab. Int J Clin Pharmacol Ther. 2015 Dec;53(12):1015-27.
メポリズマブは、ヒト化抗インターロイキン5抗体です。オマリズマブ(ゾレア®)とは異なり、インターロイキン5をターゲットにしています。ゾレア®と同様に好酸球が関与するアレルギー性の喘息に有効とされています。DREAM試験ではメポリズマブ投与群で末梢血好酸球の減少とともに喘息発作の頻度が軽減したと報告されました1)。
既に高用量ICSを使用している好酸球絶対数が150/μL以上の喘息患者さんを、メポリズマブ(75mg 4週ごと静注、100mg 4週ごと皮下注)とプラセボにランダムに割り付けたMENSA試験でも、喘息発作を起こした患者さんの数は有意にメポリズマブ群で少ないという結果が得られました2)。
言わずと知れたPowell医師のコクランレビューが既に出ていますが、現時点では臨床試験の数が不足しており、プラセボと比較して好酸球性喘息には有効であるものの、一体どういった位置づけになるのか定まっていません3)。
皮下注によるバイオアベイラビリティは74%とされています4)。
経口ステロイドの減量効果もあるので、長期にプレドニン®を使用しているステップ4の患者さんにとってはよい適応になるかもしれません。現時点でゾレア®との比較はありませんが、投与量が一定であること、IgEの測定が不要(好酸球数はルーチンで測定している病院が多い)など、現時点では優位性が多いかもしれません。とはいえ、ゾレア®もヌーカラ®もやはり薬価が1つの障壁になるのですが・・・。
現時点では、“好酸球性喘息の奥の一手としてヌーカラ®”と覚えてしまってよいでしょう。
(参考文献)
1) Pavord ID, et al. Mepolizumab for severe eosinophilic asthma(DREAM) :a multicentre, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet. 2012 Aug 18; 380(9842) : 651-9.
2) Ortega HG, et al. Mepolizumab treatment in patients with severe eosinophilic asthma. N Engl J Med. 2014 Sep 25; 371(13) : 1198-207.
3) Powell C, et al. Mepolizumab versus placebo for asthma. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jul 27;7:CD010834.
4) Pouliquen I, et al. Characterization of the relationship between dose and blood eosinophil response following subcutaneous administration of mepolizumab. Int J Clin Pharmacol Ther. 2015 Dec;53(12):1015-27.
by otowelt
| 2016-03-11 00:09
| 気管支喘息・COPD