進行期非小細胞肺癌患者に対する血清ddPCRによる遺伝子ジェノタイピング

e0156318_1164629.jpg 科学の進歩を感じずにはいられない報告ですね。リキッドバイオプシーが将来当たり前になる時代が来るかもしれません。

Adrian G. Sacher, et al.
Prospective Validation of Rapid Plasma Genotyping for the Detection of EGFR and KRAS Mutations in Advanced Lung Cancer
JAMA Oncol. Published online April 07, 2016. doi:10.1001/jamaoncol.2016.0173


背景:
 セルフリーDNAの血清ジェノタイピングによって、組織ジェノタイピングの欠点や再生検を避けることができる非侵襲的ジェノタイピングが可能となった。

目的:
 よくみられるEGFRおよびKRAS遺伝子変異、またEGFR T790M獲得変異に対して血清droplet digital PCR (ddPCR)の妥当性を前向きに検証する。

方法:
 進行期非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)で、①新規診断され初回治療を考慮されている患者、②EGFR-TKI耐性となり再生検を考慮されている患者、に対して迅速血清ddPCRによってEGFR exon 19 del, L858R, T790M, KRAS G12X変異を2014年7月3日から2015年6月30日までNational Cancer Instituteにおいて検索した。全患者は組織ジェノタイピングを実施されており、これが対照比較として用いられた。再生検はEGFR-TKI耐性となった患者に適用された。採血から結果報告までのターンアラウンドタイム(TAT)についても、営業日ベースで調べた。
 アウトカムは、血清ddPCRの感度、特異度およびTATである。

結果:
 180人の進行期NSCLC患者(62%が女性、年齢中央値62歳[37-93歳])が登録され、120人が新規にNSCLCと診断され、60人がEGFR-TKIに耐性を獲得した。ジェノタイピングでは、80人がEGFR exon 19/L858R変異, 35人がEGFR T790M変異, 25人がKRAS G12X変異を有していた。血清ddPCRのTAT中央期間は3日(1-7日)だった。組織ジェノタイピングのTATは、新規NSCLC診断例で12日(1-54日)、耐性獲得例で27日(1-146日)だった。血清ddPCRの陽性適中率はEGFR 19 delで100%(95%信頼区間91-100%)、L858変異で100% (95%信頼区間85%-100%)、KRAS変異で100% (95%信頼区間 79%-100%)、T790M変異で79% (95%信頼区間62%-91%)だった。同様に感度は、EGFR 19 delで82% (95%信頼区間69%-91%), L858変異で74% (95%信頼区間55%-88%), T790M変異で77% (95%信頼区間60%-90%)、KRAS変異で64% (95%信頼区間43%-82%)だった。多発転移巣を有する患者ではEGFRあるいはKRASの感度は高く、肝転移・骨転移を有する患者では特異度が高かった。
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(文献より引用:Table 2)

結論:
 迅速に結果が得られるEGFRおよびKRAS変異を同定する血清ddPCRは、高い特異度を有し、早期の治療選択や再生検の回避に役立つ。このアッセイはEGFR T790M変異も同定できるため、EGFR-TKIに対して耐性を獲得した腫瘍の不均一性(heterogeneity)に由来する組織ジェノタイピングの欠点を補うことも可能かもしれない。


by otowelt | 2016-04-11 00:13 | 肺癌・その他腫瘍

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