喫煙者ではCOPDの基準を満たしていなくても呼吸器症状を呈し肺機能の悪化がある

e0156318_1633480.jpg 喫煙するだけでも、いわゆるヤニ痰や慢性咳嗽を呈する人はいますよね。

Prescott G. Woodruff, et al.
Clinical Significance of Symptoms in Smokers with Preserved Pulmonary Function
N Engl J Med 2016; 374:1811-1821


背景:
 現時点では、COPDは気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーにおいて、1秒率が0.70未満の場合に診断される。しかしながら、この定義を満たしていなくとも呼吸器症状を訴える喫煙者は多い。

方法:
 現在ないし過去の喫煙者と非喫煙歴コントロール、合計2736人を対象とした観察研究において、CATスコアを実施してスパイロメトリーを評価した。呼吸機能が維持されている(気管支拡張薬投与後1秒率0.70以上で、かつ努力性肺活量が正常下限値を上回る)現在ないし過去の喫煙者において、CATスコア10点以上の有症状者は無症状者と比べて呼吸機能が悪化するリスクが高いかどうか、また有症状者で6分間歩行距離、肺機能、胸部HRCT所見が無症状者と異なるかどうかを調べた。

結果:
 呼吸機能が維持されている現在ないし過去の喫煙者の50%が有症状だった。喫煙者における平均呼吸機能悪化率は、無症状者、非喫煙者コントロールと比べて有意に高かった(1年あたりのイベント数は 0.27±0.67件 vs. 0.08±0.31件、0.03±0.21件、いずれもP<0.001)。有症状喫煙者は、無症状喫煙者と比べて活動制限が大きく、1秒量、努力性肺活量、吸気量(inspiratory capacity)がいくぶん小さく、HRCTで気腫所見はみられなかったが気道壁肥厚がみられた。有症状の喫煙者の42%が気管支拡張薬、23%が吸入ステロイド薬を使用していた。

結論:
 呼吸機能が維持されている有症状の喫煙者は、COPDの診断基準を満たしていなくても、呼吸機能の悪化、活動の制限、気道疾患の存在がある。こうした患者は、エビデンスを有さない呼吸器系治療薬を使用していることがわかった。


by otowelt | 2016-05-24 00:07 | 気管支喘息・COPD

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