喫煙していると肺炎球菌性肺炎の死亡率が減少する?

e0156318_9325254.jpg グラフを見ると、喫煙者では血清型5が多いようです。
 
Jessica A. Beatty, et al.
Current Smoking and Reduced Mortality in Bacteremic Pneumococcal Pneumonia: A Population-Based Cohort Study
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.04.020


背景:
 過去の研究(Chest. 2005;127(4):1260-1270、Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America. 2006;42(8):1093-1101、Clinical microbiology and infection : the official publication of the European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases. 2008;14(4):322-329.)では喫煙は肺炎患者の死亡率の減少と関連した独立因子とされている。われわれは、この帰結は異なる肺炎球菌血清型によるものと仮説を立て(すなわち、肺炎球菌性肺炎の喫煙者は致命率[CFR]の低い血清型の菌血症になりやすいといった)、この仮説を菌血症を伴う肺炎球菌性肺炎(BPP)患者の集団ベースコホートで調べた。

方法:
 われわれが前向きに設定した臨床レジストリに、2000年~2010年にカナダのアルバータ州北部に入院した18歳以上のBPP患者1636人を登録した。多変量ロジスティック回帰を用いて、われわれは喫煙ステータス(現行喫煙 vs 現行非喫煙)による全死因院内死亡率の補正リスクを同定し、肺炎球菌血清型によって層別化した解析をおこなった。
・低CFR:血清型1,4,5,7F,8
・高CFR:血清型3,6A,6B,9N、19A、19F、23F
・その他CFR:2, 7C, 9L, 9V, 10A, 10F, 11A, 11B, 11F, 12F, 13, 14, 15A, 15B, 15C, 16F, 17F, 18A, 18B, 18C, 18F, 20, 22A, 22F, 23A, 23B, 28A, 29, 31, 33A, 33F, 34, 35A, 35B, 35C, 35F, 37, 38, 40, 42

結果:
 平均年齢は54歳で、57%が男性、49%が現行喫煙者、41%が低CFR血清型だった。現行喫煙者・現行非喫煙者ともに肺炎球菌ワクチンを接種していたのはそれぞれ4.7%、4.0%だった。非喫煙者の方がガイドラインに遵守しない抗菌薬の使用が多かった(P < 0.001)。患者背景として、合併症を有する患者は高CFRにかかりやすかった。
 809人の現行喫煙者のうち61人が院内で死亡し、827人の現行非喫煙者のうち164人が院内で死亡した(8% vs 20%, 補正オッズ比0.52; 95%信頼区間0.36-0.77; P = 0.001)。肺炎球菌ワクチン接種も死亡率減少に関連していた(補正オッズ比0.19、95%信頼区間0.04-0.80)。これらの結果は、CFR高低を因子として組み入れても組み入れなくても多変量解析で同様の結果だった。
 現行喫煙者は、現行非喫煙者低と比較してCFR血清型にかかりやすかった(53% vs 29%, 補正オッズ比1.67; 95%信頼区間1.31-2.12; P < 0.001)。

結論:
 非喫煙者と比較して、現行喫煙者のBPPは院内死亡率が低く低CFR血清型に罹患しやすい。これらの結果は、少なくとも部分的にではあるが、過去の研究で喫煙が肺炎患者の死亡率を減少させたことを説明することができるかもしれない。


by otowelt | 2016-05-16 00:52 | 感染症全般

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