ウルティブロ®はアドエア®よりもCOPD急性増悪予防に効果的

e0156318_8571862.jpg
 速報と呼べるシロモノではありませんが、FacebookでATS2016のニュースを取り上げていくことにしたので、呼吸器内科医の先生方は是非チェックしてみて下さい。

URL:Facebookサイト「呼吸器内科医」 https://www.facebook.com/pulmonarist

 さて今回のこの論文。ATS2016とNEJMの同時発表ですから、世界の呼吸器内科医にとって今回の一番のニュースとも言える内容でしょう。

 個人的には喘息コンポーネントがある場合を除いて、COPD患者さんにはあまりICSを積極的に導入していません。ICS/LABAは、INSPIRE試験の結果もあってLAMA単剤と並んでCOPDによく使用されるようになりました。「吸入によって急性増悪が抑制できるる」というのがCOPDに対するICS/LABAの常套文句のようになりました。しかし、今回の研究ではLAMA/LABAに差をつけられることになりました。

Jadwiga A. Wedzicha, et al.
Indacaterol–Glycopyrronium versus Salmeterol–Fluticasone for COPD
NEJM ,May 15, 2016, DOI: 10.1056/NEJMoa1516385


背景:
 ほとんどのガイドラインでは、急性増悪のリスクが高いCOPDの吸入薬の第一選択としてLABA+ICSあるいはLAMAを推奨している。これらの患者に対するLABA-LAMAレジメンの役割については不透明である。

方法:
 われわれは52週ランダム化二重盲検ダブルダミー非劣性試験を実施した。少なくとも過去1年に1回の急性増悪を経験したことがあるCOPD患者を、インダカテロール110μg/グリコピロニウム50μg(ウルティブロ®)1日1回あるいはサルメテロール50μg/フルチカゾン500μg(アドエア®500)1日2回にランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントはCOPD急性増悪の年率とした。

結果:
 1680人の患者がインダカテロール-グリコピロニウム群に、1682人がサルメテロール-フルチカゾン群に割り付けられた。
 インダカテロール-グリコピロニウムは非劣性を示しただけでなく、サルメテロール-フルチカゾンに対してプライマリエンドポイント(COPD急性増悪年率)を11%減少させた(3.59 vs. 4.03; 率比0.89; 95%信頼区間0.83 to 0.96; P=0.003)。
 インダカテロール-グリコピロニウム群は、サルメテロール-フルチカゾン群よりも初回の急性増悪までの期間が延長した(71日[95%信頼区間60 to 82] vs. 51日 [95%信頼区間46 to 57]; ハザード比0.84 [95%信頼区間0.78 to 0.91], P<0.001)。
 中等症あるいは重症の急性増悪についてもインダカテロール-グリコピロニウム群の年率の方が有意に低く(0.98 vs. 1.19;率比0.83; 95%信頼区間0.75 to 0.91; P<0.001)、初回の中等症あるいは重症急性増悪までの期間も延長した(ハザード比0.78; 95%信頼区間0.70 to 0.86; P<0.001)。重症急性増悪に限っても統計学的な差が観察された(ハザード比0.81; 95%信頼区間0.66 to 1.00; P=0.046)。
e0156318_12334913.jpg
図. COPD急性増悪に対する吸入薬の効果(Figure2B:文献より改変引用[http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1516385?query=featured_home])

 インダカテロール-グリコピロニウムのサルメテロール-フルチカゾンに対するCOPD急性増悪の発症率に与える影響は、ベースラインの血中好酸球数とは独立していた。有害事象や死亡については両群とも同等であった。肺炎発症率は、インダカテロール-グリコピロニウム群で3.2%、サルメテロール-フルチカゾン群で4.8%であった(P=0.02)。

結論:
 COPD急性増悪歴があるCOPD患者に対して、インダカテロール-グリコピロニウムはサルメテロール-フルチカゾンと比べて急性増悪予防により効果的である。


by otowelt | 2016-05-17 12:34 | 気管支喘息・COPD

<< コントロール不良難治性喘息に対... COPDに対するICS+低用量... >>