患者背景にかかわらず、ICS+LABAにスピリーバ®レスピマットを上乗せする効果がみられる

患者背景にかかわらず、ICS+LABAにスピリーバ®レスピマットを上乗せする効果がみられる_e0156318_8565074.jpg 一部の患者が恩恵を受けるというものではなさそうです。

Huib A.M. Kerstjens, et al.
Tiotropium improves lung function, exacerbation rate, and asthma control, independent of baseline characteristics including age, degree of airway obstruction, and allergic status
Respiratory Medicone, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.rmed.2016.06.013


背景:
 喘息患者の多くは、吸入ステロイド薬(ICS)や長時間作用性β2刺激薬(LABA)の使用によっても症状が残存する。チオトロピウムをICS+LABAに加えることで、肺機能が改善し、増悪リスクを軽減することが示されている。

目的:
 チオトロピウム上乗せ治療効果が患者のベースラインの背景と関係があるのかどうか調べること。

方法:
 2つのランダム化二重盲検並行群間試験(NCT00772538およびNCT00776984)において1日1回のチオトロピウムレスピマット5μgをICS+LABAに加える効果を検証した。1秒量、トラフ1秒量、初回増悪までの期間、喘息悪化エピソードまでの期間、7つの質問(ACQ)返答率を調べ、これらの結果がベースラインの特性と関連しているかどうか評価した。

結果:
 912人の患者がランダム化された。456人がチオトロピウム群、456人がプラセボ群だった。ベースラインの患者背景とは独立して、チオトロピウムはプラセボと比較して、肺機能を改善し、喘息発作や喘息増悪エピソードのリスクを減少させ、喘息症状コントロールを改善した。

結論:
 ICS+LABAの使用でも有症状の喘息患者において、患者背景にかかわらず1日1回のチオトロピウム5μgはプラセボと比較して肺機能を改善し、喘息発作や喘息増悪エピソードのリスクを軽減し、喘息症状コントロールを改善した。


by otowelt | 2016-07-11 00:23 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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