メタアナリシス:COPDに対するトリプル吸入療法はスピリーバ®単独よりも入院リスクを減少

e0156318_8415029.jpg コクランレビューです。

Rojas-Reyes MX, et al.
Combination inhaled steroid and long-acting beta2-agonist in addition to tiotropium versus tiotropium or combination alone for chronic obstructive pulmonary disease.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jun 6;6:CD008532. doi: 10.1002/14651858.CD008532.pub3.


背景:
 長時間気管支拡張薬であるチオトロピウムに吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬(ICS/LABA)はCOPDの維持治療に広く用いられている。これらの治療の組み合わせは、異なる作用機序であるため、個々の薬剤を投与するよりもより効果的かもしれない。

目的:
 COPD患者の急性増悪、症状、QOL、肺機能に対する治療効果を調べること。治療内容は、チオトロピウム+LABA/ICS vs チオトロピウム、またはチオトロピウム+LABA/ICS vs LABA/ICSの比較である。

方法:
 Cochrane Airways Group Specialised Register of Trialsをはじめとした電子データベースから信頼性のある記事を抽出した。研究は並行群間ランダム化比較試験で少なくとも3ヶ月以上の上記治療を比較したものとした。抽出した論文の質を評価し、データに関しては個別に著者へ問い合わせも実施した。

結果:
・チオトロピウム+LABA/ICS vs チオトロピウム
 これらの治療には死亡率に差はみられなかった(オッズ比1.80, 95%信頼区間0.55 to 5.91; 2試験; 961人)。ただし、入院に関しては併用群の方が有意にリスクが低かった(オッズ比0.61, 95%信頼区間0.40 to 0.92; 2試験; 961人;Number needed to treat for benefit 19.7, 95%信頼区間10.75 to 123.41)。急性増悪に対する効果は試験ごとにばらつきがあり、メタアナリシスを実施しなかった。SGRQスコアは有意に併用群で改善した(平均差-3.46, 95%信頼区間-5.05 to -1.87; 4試験; 1446人)。肺機能についても併用群の方が良好であったが、その差は極めて微量と言わざるを得なかった。有害事象は両群ともに差はみられなかった(オッズ比1.16, 95%信頼区間0.92 to 1.47; 4試験; 1363人)。有害事象としての肺炎についても差はなかった(Petoオッズ比1.62, 95%信頼区間0.54 to 4.82; 4試験; 1758人)。

・チオトロピウム+LABA/ICS vs LABA/ICS
 事前規定で妥当と考えられた6試験のうち1つのみがこれらの比較であったが、比較するには検定力不足であった。そのため、本メタアナリシスでは結論を出せない。

結論:
 チオトロピウム+LABA/ICSの併用は、チオトロピウム単独と比較して入院を減少させる中等度のエビデンスがあると考えられる。またQOLを改善する効果もあると考えられた。しかしながら、これらの併用療法が死亡率やCOPD急性増悪に利益をもたらすというエビデンスは十分ではなかった。チオトロピウムにLABA/ICSの吸入を加えても有意な有害事象の増加は観察されなかった。


by otowelt | 2016-07-15 00:15 | 気管支喘息・COPD

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