チオトロピウムによるCOPD治療開始は心血管系リスクを増加させず

e0156318_23175684.jpg 本題とは異なる観点ですが、海外でもやはりLABA単独使用というのはまれのようですね。

Samy Suissa, et al.
Long-acting bronchodilator initiation in COPD and the risk of adverse cardio-pulmonary events: A population-based comparative safety study
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.08.001


背景:
 長時間作用性β2刺激薬(LABA)や抗コリン薬チオトロピウムを含む長時間作用性気管支拡張薬は、COPDの初期治療として推奨されている。これらの気管支拡張薬の心血管系、脳血管系、呼吸器系に対する有害事象のリスクについては、限定的なサンプルサイズの研究に基づいていたり相反する結果が示されたりしている。さらに、当該初期治療が開始された次期や、おのおのがリスクに直面する時期についての情報が得られる研究はほとんどない。

方法:
 われわれは、長時間作用性気管支拡張薬を2002年~2012年の間に新規処方された55歳以上の患者をUnited Kingdom’s Clinical Practice Research Datalinkを用いて同定した。チオトロピウムで開始された患者は、高次元傾向スコアおよび過去の吸入ステロイド薬使用によってマッチされ、LABA新規使用者と比較された。治療開始から1年あるいは急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中、心不全、不整脈、肺炎の発症まで追跡された。

結果:
 26442人のチオトロピウム新規使用者が26442人のLABA新規使用者と比較された。LABA使用者は、主にICSに追加処方されていた。LABAと比較して、チオトロピウム開始によるAMIのハザード比は1.10 (95%信頼区間0.88-1.38)、脳卒中のハザード比は1.02 (95%信頼区間0.78-1.34), 不整脈のハザード比は0.81 (95%信頼区間0.60-1.09), 心不全のハザード比0.90 (95%信頼区間0.79-1.02)だった。肺炎の発症は、チオトロピウム群で有意に少なかった(ハザード比0.81; 95%信頼区間0.72-0.92)。

結論:
 LABAと比較してチオトロピウムによるCOPDの治療開始は、心血管系リスクを初期1年で増加させなかった。肺炎リスクはLABAの方が高く、これはLABAとともに使用されている吸入ステロイド薬の使用による影響と考えられた。


by otowelt | 2016-08-30 00:58 | 気管支喘息・COPD

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