書籍の紹介:ホスピタリストのための内科診療フローチャート

e0156318_1125220.jpg
 私が手に入れてよかったと思う医学書は、「読んで自分が焦る本」です。膨大な情報量と著者の勉強量を目の当たりにし、医師としての自分の知識や能力に焦りを覚える本。紹介する「ホスピタリストのための内科診療フローチャート ―専門的対応が求められる疾患の診療の流れとエビデンス」という本を目にし、間違いなく私は「ああもっと勉強しなければ」と焦りました。
e0156318_1184817.jpg
 高岸勝繁先生は私がかつて洛和会音羽病院で研修医をしていたときの後輩研修医です。2年目研修医として私が先輩風を吹かそうとしていたところ、彼の持っている医学的知識量がすでにかなり高い位置にあり、電子カルテの操作以外に何も教えることができなかったのをよく覚えています。私に尊敬のまなざしが向けられたのは、Gram染色の写真を電子カルテにペーストする方法を教えたときくらいでしょうか。「一体何者なんだ」というのが、彼に対する第一印象でした。彼の勉強の成果であるハイクオリティのパワーポイントを、こっそりパクったこともあります。ゴメンナサイ、今だから言える。

 当時私は1日1編の医学論文を読むことを自分に課していたのですが、彼はそんなことはおかまいなしに「1日3編の論文を読んでいる」とサラリと口にしていました。「まさか!そんなのウソだろう」と思っていたら、休憩中や昼食中、初恋の女性からの手紙でも読んでいるのではないかというくらい、医学論文に夢中になっている彼を見て唖然としました。

 現在彼は「Hospitalist ~病院総合診療医~http://hospitalist-gim.blogspot.jp/)」というブログを運営しています。毎日のように更新されるハイレベルな知識の洪水の恩恵を受けようと、アクセスが集まっています。彼の医学的知見のアップデートは、止まることを忘れたジェットコースターのようにハイスピードを維持しながら走り続けています。

 この本を手にしたとき、初めて彼と会ったあの日と同じように私はこう思いました。「一体何者なんだ」。しかし彼にとっては医学的知識を脳内に更新し続ける作業は、呼吸するがごとく、飲食するがごとく、いたって日常のことなのです。それでいてこの本は、彼のシステマティックな思考回路を素晴らしく端的に表しています。私はそれがとても嬉しく、そして懐かしい。

 ―――日本中の医師よ、さあこの本を読んで焦るがよい。




▼楽天

by otowelt | 2016-10-19 08:00 | その他

<< アジア人のLAMに対する長期シ... 難治性慢性咳嗽に対する理学療法... >>