抜管後ハイリスク患者におけるネーザルハイフローと非侵襲的換気のランダム化比較試験

e0156318_13512197.jpg ここではハイフローセラピーのことをネーザルハイフロー(NHF)と書かせていただきます。いずにれいしてもOptiflow®が用いられているのですが。
 今春に公開されたHernández先生の有名な論文のハイリスク症例ヴァージョンです。

抜管後は通常の酸素療法よりネーザルハイフローの方がよい

 COPDも喉頭浮腫も気道分泌物過多もまとめて「ハイリスク」にしてよいのだろうか、という疑問は残ります。個人的には重症COPDの抜管後はNPPVがよいのではと思います。
 ランダム化から24時間を経過し、NHF、NIVを酸素療法に切り替えた時点でKaplan-Meier曲線に開きが出ていますね。

Hernández G, et al.
Effect of Postextubation High-Flow Nasal Cannula vs Noninvasive Ventilation on Reintubation and Postextubation Respiratory Failure in High-Risk Patients: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2016 Oct 18;316(15):1565-1574.


背景:
 ネーザルハイフロー(NHF)および非侵襲的換気(NIV)は再挿管の必要性を減らすかもしれない。

目的:
 再挿管のリスクが高い患者において、抜管後呼吸不全を予防する上でNHFがNIVに非劣性を示すかどうか調べること。

方法:
 スペインの3つのICUで2012年9月から2014年10月に実施された多施設共同ランダム化比較試験において、抜管が予定されている重症患者でハイリスク要件に該当するものを登録した。以下の1つでも満たせばハイリスクと定義した:65歳以上、抜管日APACHE IIスコア12点以上、BMI30以上、不適切な分泌物管理(8時間に2回以上の吸引を要する)、ウィーニングが困難あるいは遷延、2つ以上の合併症、人工呼吸器を必要とした原因が心不全、中等症~重症COPD、明らかな気道の問題(喉頭浮腫など)、人工呼吸器装着遷延。
 患者は抜管後24時間、ランダムにNHF群とNIV群に割り付けられた。24時間後、NHF群は通常の酸素療法、NIV群はベンチュリーマスクへスイッチした。
 プライマリアウトカムは再挿管および抜管後72時間以内の呼吸不全の発生とした。非劣性マージンは10%ポイントとした。セカンダリアウトカムは呼吸器感染症(VAPあるいはVAT)、敗血症、多臓器不全、入院期間、死亡率、有害事象、再挿管までの時間とした。

結果:
 604人(平均年齢65±16歳、388人[64%]が男性)が登録され、314人がNIV群、290人がNHF群に割り付けられた。
 抜管後72時間時において、NHF群の66人(22.8%)、NIV群の60人(19.1%)が再挿管を要した(絶対差-3.7%、95%信頼区間-9.1~∞)。非呼吸器系の原因による再挿管症例を除外すると、再挿管はNHF群49人(16.9%)、NIV群50人(15.9%) (絶対差1%、95%信頼区間-4.9~6.9%)。
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(文献より引用:Table 2)
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(文献より引用:Figure 2)

 またNHF群の78人(26.9%)、NIV群の125人(39.8%)が抜管後呼吸不全を呈した(リスク差12.9%、95%信頼区間6.6~∞)。再挿管までの時間は両群とも差はみられなかった(26.5時間[IQR14-39時間] vs 21.5時間[IQR10-47時間]、絶対差―5時間[95%信頼区間―34~24時間])。ランダム化からのICU在室期間中央値はNHF群で短かった(3日[IQR2-7日] vs 4日[IQR2-9日]、p=0.048)。他のセカンダリアウトカムは両群同等であった。治療中断を余儀なくされた有害事象は、NHF群0%、NIV群42.9%だった(p<0.001)。

結論:
 抜管されたハイリスク成人患者において、再挿管および抜管後呼吸不全を予防する上で、NHFはNIVに非劣性を示した。NHFはこれらのハイリスク患者に有益かもしれない。


by otowelt | 2016-10-21 00:39 | 集中治療

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