START試験事後解析:軽症喘息に対するICS導入は週あたりの症状日数で規定されるべきでない

e0156318_13444039.jpg 話題になったReddel医師の論文です。

Reddel HK, et al.
Should recommendations about starting inhaled corticosteroid treatment for mild asthma be based on symptom frequency: a post-hoc efficacy analysis of the START study.
Lancet. 2016 Nov 29. pii: S0140-6736(16)31399-X. doi: 10.1016/S0140-6736(16)31399-X. [Epub ahead of print]


背景:
 低用量吸入ステロイド薬(ICS)は、喘息発作や死亡を減らす上で効果的である。過去のガイドラインにおいて、ICS治療は1週間に2日以上症状がある患者(persistent asthma)に推奨されてきたが、このカットオフ値はエビデンス不足のまま現行GINAガイドラインへいたることとなった。
 ベースラインの喘息症状の頻度で層別化した集団において、重症喘息発作、肺機能、喘息症状コントロールに対するブデソニドあるいはプラセボに異なる反応性があるかどうかをみることで、従来の症状に基づいたICS開始のカットオフの妥当性を調べた。

方法:
 われわれはSTART試験の事後解析を実施した(32ヶ国、3ヶ月)。4歳~66歳の軽症喘息患者(1週間のうち少なくとも1日の喘息症状があり、それが毎日出現しないもの)で、過去にステロイド定期処方を受けていないものをランダムに1日1回のブデソニド400μg(11歳未満は200μg)あるいはプラセボに割り付けた。
 複合プライマリアウトカムは、初回の喘息関連イベント(SARE:入院、救急受診治療、死亡)およびベースラインからの肺機能の変化(気管支拡張後)とした。ベースラインの症状頻度との相関性が調べられ、症状頻度は1週間あたり2日を境に層別化された。

結果:
 7138人(3577人:ブデソニド、3561人:プラセボ)のうち、ベースラインの症状頻度が1週間あたり0日から1日未満のもの(0~1日群)が2184人(31%)、1日を超え2日未満のもの(1~2日群)が1914人(27%)、2日を超えるもの(2日超群)が3040人(43%)だった。
 プラセボと比較するとブデソニドは、症状頻度サブグループのいずれにおいても初回SAREまでの期間を有意に延長させ(0~1日群:ハザード比0.54 [95%信頼区間0.34-0.86]、1~2日群:ハザード比0.60 [95%信頼区間0.39-0.93] 、2日超群:ハザード比:0.57 [95%信頼区間0.41-0.79], pinteraction=0.94)、3年次の気管支拡張後肺機能の減少についてもブデソニド群はその影響が軽かった(pinteraction=0.32)。
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(文献より引用:初回SAREまでの期間)

 プラセボと比較するとブデソニドは、経口あるいは全身性ステロイドを要する重症発作のリスクを減らした(0~1日群:率比0.48 [95%信頼区間0.38-0.61]、1~2日群:率比0.56 [95%信頼区間0.44-0.71]、2日超群:率比0.66 [95%信頼区間0.55-0.80]、pinteraction=0.11)。また、気管支拡張前肺機能を改善させ、無症状日数はより多かった(すべての症状頻度サブグループにおいてp<0.0001)。

結論:
 軽症の直近発症の喘息において、1週間あたりの症状頻度を問わず、1日1回の低用量ブデソニドはSAREリスクを軽減し、肺機能減少を抑制し、症状コントロールを改善させることがわかった。これは、ICSの使用を2日を超えて症状を有する喘息患者に限定しないよう推奨されることを示唆するものである。

by otowelt | 2016-12-14 00:58 | 気管支喘息・COPD

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