クリスマスBMJ2016:違法薬物と道徳、倫理

e0156318_2395893.jpg 『考える快楽』で有名なグレイリングの寄稿です。

Christmas 2016
A C Grayling.
Morality and non-medical drug use
BMJ 2016; 355 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i5850 (Published 09 December 2016) Cite this as: BMJ 2016;355:i5850


他人を傷つけていないのなら、大麻やヘロインの使用をアルコールやカフェインの使用以上に制限する道徳的根拠はない ――― A・C・グレイリング

 drugという言葉が指す言葉には色々なものが含まれる。アヘン、その誘導体、コカイン、LSD、「エクスタシー」、アンフェタミン、溶剤、トランキライザー・・・。しかしこのdrugにはたばこ(ニコチン)やコーヒー・ワイン(カフェイン)は含まれていない。コーヒーカップの横に砂糖を置くのはよくて、ホットケーキミックスに大麻を入れるのはなぜダメなのか。そういうロジカルな問題が存在する。飲酒運転は他人に危害を与えうるため、道徳的に許されない。しかし、もし他人を傷つけない範疇であればこうしたdrugは是とされるものではないだろうか。

 アルコールの使用が成人に対して道徳的に容認され合法である理由は、長く用いられてきた歴史においてアルコールの社会的受容性が高いという起因する。人々が望む行為が他人に危害を加えない限りは、好きなだけ行えるように自由であるべきと考えたのはミルである(ミルの原理)。リバタリアンが合法化されるべきものかどうか、国家はその限界について議論すべきである。アルコールなどの軽度の嗜好品から違法薬物にいたるまで、その注意喚起が国家によってなされるべきか、あるいは個人の自由意思によって注意すべきか。このライン引きは国家そのものの性質を決定するだけでなく、個人の倫理に強く影響を与える。

 

by otowelt | 2016-12-11 10:58 | その他

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