トラネキサム酸は冠動脈手術後の出血リスクを減らす

e0156318_13135897.jpg 外傷以外の臨床試験は有益な情報になりますね。痙攣については留意が必要です。

Paul S. Myles, et al.
Tranexamic Acid in Patients Undergoing Coronary-Artery Surgery
N Engl J Med 2017; 376:136-148


背景:
 トラネキサム酸は心臓手術を受けた患者の出血リスクを低下させるものの、これによってアウトカムが改善するかどうかはよく分かっていない。また、トラネキサム酸には血栓形成促進および痙攣誘発作用がある可能性がある。

方法:
 2×2factorial design試験で、冠動脈手術が予定されている周術期合併症のリスクがある患者を、アスピリンあるいはプラセボ、トラネキサム酸あるいはプラセボにランダムに割り付けた。
 この論文では、そのうちトラネキサム酸とプラセボとの比較の結果を報告する。プライマリアウトカムは、術後30日以内の死亡と血栓性合併症(非致死的心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症、腎不全、腸梗塞)の複合とした。

結果:
 4662人のうち、4631人が冠動脈手術を受け、アウトカムデータが得られた。2311人がトラネキサム酸群、2320人がプラセボ群に割り付けられた。
 プライマリアウトカムイベントは、トラネキサム酸群の386人(16.7%)とプラセボ群の420人(18.1%)に観察された(相対リスク0.92、95%信頼区間0.81-1.05、P=0.22)。また、入院中の輸血総単位数は、トラネキサム酸群が4331単位、プラセボ群7994単位だった(P<0.001)。再手術にいたった重大な出血または心タンポナーデは、トラネキサム酸群1.4%とプラセボ群2.8%に観察され(P=0.001)、痙攣はそれぞれ0.7%と0.1%に観察された(Fisher の正確確率検定で P=0.002)。

結論:
 冠動脈手術を受ける患者に対するトラネキサム酸は、プラセボと比較して出血のリスクが低かった。また、術後30日以内の死亡と血栓性合併症のリスクは高くならなかった。ただし、トラネキサム酸は術後痙攣の頻度が高かった。



by otowelt | 2017-01-26 00:03 | その他

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