喀痰の肺炎球菌抗原キット(ラピラン) による肺炎球菌性肺炎の診断

e0156318_10322082.jpg 福岡大学呼吸器内科池亀聡先生の報告です。

Ikegame S, et al.
The Evaluation of the Sputum Antigen Kit in the Diagnosis of Pneumococcal Pneumonia
Intern Med 56: 1141-1146, 2017


目的:
 喀痰用の肺炎球菌抗原検出キットが開発され、 喀痰から肺炎球菌性肺炎の迅速診断が可能となった。 このキットを用いた前向き研究を行った。

方法:
 2014年4月~2015年9月の間、 肺炎で当院に入院となった患者を対象に痰培養、 喀痰肺炎球菌抗原検出キット(ラピラン®)、 尿中肺炎球菌抗原検出キットの検査を行いそれぞれの有用性を比較 する前向き研究を行った。 研究の期間中に登録できなかった症例は後ろ向き研究という形で痰 培養、尿中抗原キットなどの検査データの解析を行った。

結果:
 前向き研究では69例が登録され、 9例が肺炎球菌性肺炎であった。 喀痰キットは喀痰培養検査結果と相関し肺炎球菌検出を予測できた 。また、感度に関しては喀痰キット88.9%(8/9)、 尿中抗原55.6%(5/9)と喀痰キットが高い傾向にあった。 治験登録できなかった症例も含めた検討では喀痰培養の感度93. 5%(29/31)、尿中抗原の感度60.6%(19/31) であり、これらの結果を踏まえ、 喀痰キットは尿中抗原より感度良好と結論付けた。
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 喀痰キットの偽陽性は4例でうち3例は事前の抗菌薬投与が行われ ており喀痰培養結果の修飾が疑われ、1例はS. intermidiusによる膿胸の関与が疑われた。

結論:
 総合的な判断で、 喀痰抗原キットは尿中抗原キットより高い感度と判断されたが、 事前の抗菌薬投与は培養を陰性化させることで喀痰キットの偽陽性の原因となる可能性がある。

コメント:
 尿中抗原キットのみ陽性で喀痰抗原キット陰性・ 喀痰培養陰性の症例が肺炎球菌性肺炎確定例(培養陽性) の半数程度存在した。 尿中抗原キットのみ陽性の症例を肺炎球菌性肺炎とすべきかについ ては今後の検討が必要である。


by otowelt | 2017-05-18 00:25 | 感染症全般

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