気管支拡張症に対する吸入ステロイド処方の頻度

気管支拡張症に対する吸入ステロイド処方の頻度_e0156318_12592061.jpg お国柄の違いもありそうですが。

E. Henklek, et al.
Pharmacotherapy for non-cystic fibrosis bronchiectasis: results from an NTM Info & Research patient survey and the Bronchiectasis and NTM Research Registry
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.04.167


目的:
 非嚢胞性線維症気管支拡張症(以降、単純にBEと記載する)は慢性炎症性肺疾患でしばしばNTM感染を合併する。BEマネジメントに指針を立てるにはあまりにもデータが少ない。そこでわれわれは、アメリカBE患者におけるICS処方パターンと抗菌薬処方パターンを調べることとした。

方法:
 2000人のNTMir・Bronchiectasis and NTM Research Registry患者のデータを収集した。また、ベースラインの臨床データ・検査データも収集した。

結果:
 NTMirサーベイから511人のBE患者が同定された。年齢中央値は67歳で、87人(17%)が喘息、99人(19%)がCOPDがあると報告された。ICS使用歴は282人(55%)にのぼり、そのうち171人(61%)が1年を超えて使用しており、150人(52%)が現在ICSを使用していた。アジスロマイシンを非NTM-BEに用いた例はICSほどは多くなく(171人[61%])、吸入トブラマイシンも同様であった(78人[15%])。
 Bronchiectasis and NTM Research RegistryのBE患者1912人の年齢中央値は69歳で、528人(28%)が喘息を、360人(19%)がCOPDがあると報告された。NTMがない740人のうち、314人(42%)がICSをベースラインで使用しており、閉塞性肺疾患として用いられていたのはわずか178人(57%)だった。予防的なマクロライド療法を受けている例は少なかった(95人[13%])。48人が慢性緑膿菌感染症を有していた。

結論:
 2つの国内コホートでは、BE患者にICSを処方することは一般的であり、予防的な抗菌薬治療は相対的に少ないと言える。


by otowelt | 2017-05-31 00:27 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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