吸入ステロイドは高用量・長期間だと骨折リスクを上昇させる

e0156318_8532618.jpg たしか、昨年のERSで報告されたものですね。

Anne V. Gonzalez, et al.
Long-term use of inhaled corticosteroids in COPD and the risk of fracture
Chest, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2017.07.002


背景:
 COPDに広く用いられている吸入ステロイド薬(ICS)の長期使用が、特に閉経後に骨折リスクが増す女性において、同リスクを上昇させるのかどうかはまだよくわかっていない。COPDに対する長期的なICS使用が、大腿骨近位部骨折あるいは上肢の骨折リスクを上昇させるのかどうか、また性差があるのかどうかを調べた。

方法:
 ケベックヘルスケアデータベースを用いて、COPD患者コホートを作成した(1990年~2005年)。また2007年まで追跡し、初回の大腿骨近位部骨折あるいは上肢骨折を記録した。症例対照分析において、個々の骨折事例に対して20のコントロール患者をマッチさせた(年齢、性別、追跡期間をマッチ)。ICS使用者の骨折の補正率比を条件つきロジスティック回帰を用いて推定し、男女の骨折リスクを比較した。

結果:
 当該コホート240110人のうち、19396人が平均5.3年(1000人年あたり15.2)骨折に苦しんだ。ICSの使用は骨折のリスク上昇に寄与しなかった(率比1.00、95%信頼区間0.97-1.03)。ただし、1日あたり1000μg以上フルチカゾン相当のICSを4年以上継続している患者では骨折リスクは上昇した(率比1.10、95%信頼区間1.02-1.19)。これらのリスクに性差はみられなかった。
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(文献より引用:Figure3)

結論:
 長期的なICS使用は、COPD患者において大腿骨近位部骨折あるいは上肢骨折のわずかなリスク上昇と関連していた。用量-期間によるリスク上昇が特段女性で高くなるという結果は得られなかった。


by otowelt | 2017-08-02 00:40 | 気管支喘息・COPD

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