BRAIN試験:イコチニブは、脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の治療に有用

e0156318_1164629.jpg すでによく知られた内容ですが、もう一度読みました。

Yang JJ, et al.
Icotinib versus whole-brain irradiation in patients with EGFR-mutant non-small-cell lung cancer and multiple brain metastases (BRAIN): a multicentre, phase 3, open-label, parallel, randomised controlled trial.
Lancet Respir Med. 2017 Sep;5(9):707-716. doi: 10.1016/S2213-2600(17)30262-X. Epub 2017 Jul 19.


背景:
 多発性脳転移を有する非小細胞肺癌の患者において、全脳照射は標準治療に位置づけられているが、認知機能障害の問題がある。われわれは、EGFR-TKIであるイコチニブを全脳照射と比較した第3相試験を計画した(BRAIN試験)。

方法:
 適格基準となったのは、EGFR遺伝子変異陽性の進行NSCLCで、EGFR-TKIによる治療歴のない、脳転移を有する患者。脳転移は画像所見で3つ以上確認されていることとした。
 イコチニブ125mgを1日3回経口投与する群(イコチニブ群)と、全脳照射(30Gy/3Gy/10Fr)+化学療法(併時・遂時)4~6サイクル行う群(全脳照射+化学療法群)に、ランダムに1:1で割り付けた。イコチニブは病勢進行があるまで投与し、有用と判断された場合には進行後も同薬の継続を可能とした。また、全脳照射+化学療法からイコチニブへのクロスオーバーも容認した。 
 プライマリアウトカムは、頭蓋内無増悪生存期間(intracranial PFS)で、セカンダリアウトカムとして通常PFS、頭蓋内奏効率、全生存期間、安全性・忍容性を設定した。

結果:
 2012年12月から2015年6月までに176人がランダム化され、イコチニブ群85人、全脳照射+化学療法群91人となった。実際に治療を導入されたのはそれぞれ85人、73人だった。患者背景は両群でバランスがとれていた。exon 19の欠失変異がある患者はぞれぞれ52.9%、65.8%、症候性脳転移の頻度はそれぞれ15.3%と17.8%だった。
 プライマリアウトカムである頭蓋内PFSは、イコチニブ群で有意に良好であった(10.0ヶ月 vs 4.8ヶ月、ハザード比0.56、95%信頼区間:0.36-0.90、p=0.014)。6ヶ月時の頭蓋内無増悪生存率は、イコチニブ群72.0%、全脳照射+化学療法群48.0%だった。12ヶ月時はそれぞれ47.0%、43.0%だった。
 通常PFSもイコチニブ群のほうが有意に良好であった(ハザード比0.44、95%信頼区間:0.31-0.63、p<0.001)。6ヶ月時の無増悪生存率は、それぞれ55.9%、22.0%、12ヶ月時はそれぞれ19.0%、9.0%だった。
 全生存期間に有意差はみられなかった(ハザード比0.93、95%信頼区間:0.60-1.44、p=0.734)。
 頭蓋内奏効率は、イコチニブ群67.1%、全脳照射+化学療法群40.9%だった(p<0.001)。
 グレード3以上の有害事象は、イコチニブ群よりも全脳照射+化学療法群の方が有意に多かった(8.2% vs 38.3%)。

結論:
 イコチニブは、脳転移を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の治療において全脳照射+化学療法より頭蓋内PFSを延長する。同集団において治療選択肢となるだろう。


by otowelt | 2017-09-14 00:47 | 肺癌・その他腫瘍

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