LAMA/LABA合剤直接比較試験:アノーロ® vs スピオルト®

LAMA/LABA合剤直接比較試験:アノーロ® vs スピオルト®_e0156318_1633480.jpg LAMA/LABA合剤の直接比較試験です。FundingはGSKなのでその点は加味すべきと思います。

Gregory J. Feldman, et al.
Comparative Efficacy of Once-Daily Umeclidinium/Vilanterol and Tiotropium/Olodaterol Therapy in Symptomatic Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Study
Adv Ther. 2017 Nov 1. doi: 10.1007/s12325-017-0626-4.


背景:
 われわれは、COPD患者において1日1回吸入の固定用量LAMA/LABA合剤の直接比較の結果を報告する(ウメクリジニウム/ビランテロール[UMEC/VI:U] vs チオトロピウム/オロダテロール[TIO/OLO:T])。

方法:
 これはICS治療を受けていない有症状COPD患者(40歳以上、mMRC2以上)におけるランダム化2期間クロスオーバーオープンラベル試験である。患者はランダムにU(エリプタ:62.5/25μg1日1回)あるいはT(レスピマット:5/5μg)に3週間のウォッシュアウト後に8週間割り付けられた(クロスオーバーデザイン)。プライマリエンドポイントは8週時点でのトラフ1秒量とした(per-protocol集団の非劣性マージン-50mL)。副作用についてもデータを収集した。
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(文献より引用)

結果:
 合計236人(平均年齢64.4歳、60%が男性)がITT集団に組み入れられ、227人がper-protocol集団に該当。8週時点でのトラフ1秒量について、U群はT群に対してper-protocol集団において非劣性で、ITT集団において優越性であった(ベースラインからの1秒量変化180mL vs 128mL, 差52mL[95%信頼区間28-77mL]、p<0.001)。U治療を受けている患者は、臨床的に意義のある(100mL以上)ベースラインからのトラフ1秒量増加オッズ比がT治療の2倍だった(オッズ比2.05; 95%信頼区間1.34-3.14)。副作用イベントは、U群の25%、T群の31%に発生した。
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(文献より引用)

結論:
 1日1回吸入のLAMA/LABA合剤を直接比較した初の臨床試験において、有症状COPD患者におけるU治療はT治療よりも8週時点でのトラフ1秒量のプライマリエンドポイントに対して優越性を示した。両剤とも安全性プロファイルは同等だった。


by otowelt | 2017-11-21 00:18 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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