慢性非特異的呼吸器症状のある患者においてFeNOは吸入ステロイド薬の効果を予測する

慢性非特異的呼吸器症状のある患者においてFeNOは吸入ステロイド薬の効果を予測する_e0156318_224778.jpg 実際に、疾患と問わずICSの効果指標にFeNOは有用だと感じています。ただ、その証明は難しかった。

Price DB, et al.
Fractional exhaled nitric oxide as a predictor of response to inhaled corticosteroids in patients with non-specific respiratory symptoms and insignificant bronchodilator reversibility: a randomised controlled trial.
Lancet Respir Med. 2017 Nov 3. pii: S2213-2600(17)30424-1. doi: 10.1016/S2213-2600(17)30424-1. [Epub ahead of print]


背景:
 慢性非特異的呼吸器症状のマネジメントは難しい。この研究の目的は、同症状を訴えた患者におけるFeNOとICS反応性の関連を調べることである。

方法:
 イギリスおよびシンガポールの26施設で行われたこの二重盲検ランダム化プラセボ対照試験では、咳嗽・喘鳴・呼吸困難感を訴える18-80歳の未診断の非特異的呼吸器症状患者を組み入れた。気道可逆性は20%未満と規定した。患者は、キュバール80μg2吸入1日2回あるいはプラセボを4週間受けた。ランダム化はベースラインのFeNOで層別化された(25ppb以下、25~40ppb、40ppb以上)。プライマリエンドポイントは平均ACQ7スコアとした。一般化線形モデルを用いてFeNoがICS反応性(ACQ7スコアを指標)の予測因子となるかどうか調べた。

結果:
 2015年2月4日から2016年7月12日までの間、294人の患者がランダム化され、ICS群148人、プラセボ群146人となった。プロトコル違反を除き、214人(ICS群114人、プラセボ群100人)が解析された。
 FeNOが10ppb増加するごとに、ACQ7スコアの変化がICS群で顕著に観察された(群間差0.071, 95%信頼区間0.002 to 0.139; p=0.044)。もっともよくみられた有害事象は鼻咽頭炎だった(12% vs 9%)。
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(文献より引用)

結論:
 非特異的呼吸器症状を訴える患者において、ICS反応性をみるためのFeNOは簡便で侵襲性が低いツールである。


by otowelt | 2017-11-30 00:56 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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