IPFに対して抗線維化薬はあまり処方されていない

e0156318_7331272.jpg これまでのIPF治療の歴史が足枷になっているようですね。個人的には「プライマリケアでは処方してはいけない風潮」が根強いと思っています。特に日本ではガイドラインで強くMDD診断を推奨していますので、「wait and watch」という名目に隠されて治療を受けていない患者さんが大量に存在しているはずです。専門家集団だけの疾患という位置づけのままで本当によいのでしょうか?

Toby M. Maher, et al.
Unmet needs in the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis―insights from patient chart review in five European countries
BMC Pulm Med. 2017; 17: 124.


背景:
 IPFに対してピルフェニドンとニンテダニブという2つの抗線維化薬がEMAおよびFDAで承認されている。この解析では、IPFに罹患したヨーロッパの患者がIPF治療プラクティスにおいてどのくらい処方されているかどうかを調べ、およびアンメットニーズを理解することを目的とした。

方法:
 2016年2月から3月の間に、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリスの呼吸器内科医にオンラインでアンケートを実施し、IPF治療パターンに関する情報を収集した。患者は、治療群(2承認薬のいずれかを処方されている)あるいは無治療群(承認薬のいずれも処方されていない)に分類された。2承認薬以外の治療を受けている場合、無治療群に分類された。IPF診断の分類(確定例/疑い例)、重症度(軽症/中等症/重症)についても情報が収集された。患者からの視点に関しては本研究では触れていない。

結果:
 合計290人の医師がアンケートに回答した。全体で、IPF患者の54%が承認された抗線維化薬を投与されていなかった(46%が受けていた)。
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(文献より引用:抗線維化薬の処方頻度)

 治療群の81%がIPFと確定診断されていた。確定診断を受けている患者のうち、40%が治療を受けていなかった。治療群は無治療群と比較して、若年(67歳 vs 70歳、p<0.01)、集学的見検討が頻繁になされていた(83% vs 57%、p<0.01)。%努力性肺活量が80%を超える集団では無治療を選択されやすかった。軽症IPFの71%が抗線維化薬を投与されておらず、中等症および重症でそれぞれ41%、60%が投与されていなかった。
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(文献より引用:IPF重症度ごとの処方頻度)

結論:
 抗線維化薬が処方できるにもかかわらず、多くのヨーロッパのIPF患者は、確定診断を受けていても同薬による治療を受けていない。そして重要なことだが、軽症や安定しているIPFに治療を導入することに抵抗があり、かわりに「watch and wait」戦略を取りがちである。IF重症度スペクトラムの全体を通して抗線維化が有効であることを医師に広く知らしめる必要があるかもしれない。



by otowelt | 2017-12-08 00:42 | びまん性肺疾患

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