クライオバイオプシーをMDDに加える意義

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Sara Tomassetti, et al.
Prognostic value of transbronchial lung cryobiopsy for the multidisciplinary diagnosis of idiopathic pulmonary fibrosis: a retrospective validation study
Lancet Respir Med. 2020 Aug;8(8):786-794.


背景:
 経気管支クライオバイオプシー(TBLC)は、近年間質性肺疾患の診断として用いられている。われわれは、TBLCデータをMDDに用いることで、IPFおよびその他間質性肺疾患(ILD)の予後を規定できるかどうか評価した。

方法:
 単施設後ろ向き研究において、われわれは胸部HRCTでUIPパターンと診断され、TBLCあるいは外科的肺生検(SLB)のいずれかを受けた患者を連続登録した。臨床情報を伏せた状態で、3人の病理学者が検体をレビューした。MDDは生検前後で行われた。プライマリエンドポイントは、TBLCを受けた患者におけるIPFとその他ILDのMDD診断分離の予後的意義とした。

結果:
 500人の連続患者が登録され、426人が登録された。266人がTBLC、160人がSLBを受けた。189人がIPF、143人がその他ILD、94人が非線維性ILDと診断された。TBLCを受けた患者はSLBを受けた患者に比して併存症が多く、肺機能が保たれていた。MDDでIPFと診断された患者のうち、TBLCを受けた患者は、SLBを受けたよりも高齢で、併存症が多く、生検後治療プロファイルが異なっていた。TBLCに基づいてMDDでIPFおよびその他ILDと診断される予後的意義の違いは明確で、無移植5年生存率はTBLC-IPF患者で68% (95%信頼区間57-76)、TBLC-非IPFで93% (95%信頼区間87-96)(ハザード比5.28, 95%信頼区間2.72-10.04; p<0.0001)。年齢、性別、喫煙歴、併存症、肺機能、胸部HRCTパターンで補正した多変量解析においてもこの予後的意義の違いは有意だった(p=0.02)。

結論:
 TBLCをMDDに加えることで、IPFおよびその他ILDの間の予後的意義に重要な影響をもたらす。





by otowelt | 2020-08-29 00:13 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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