軽症中等症病床からみた大阪府の第3波の景色
2020年 11月 23日
パンデミック当初、どの病院がCOVID-19を診療しているかは公開されていなかったのですが、現時点では多くの病院がCOVID-19患者を受け入れていることを表明しています。当院も、初期から軽症~中等症患者さんを引き受けています。軽症例はほとんどおらず、基本的に中等症以上を診ています。
大阪では、府の入院フォローアップセンターが主導して、COVID-19患者を各病院に割り振っている状況です。自宅やホテル療養中に悪化した人の入院依頼は、昼夜を問わず起こっており、関係スタッフは疲弊しています。第1~2波の頃は全体的に士気が高かったように思いますが、第3波ともなるとコロナ疲れが目立つようになりました。この精神的摩耗が医療従事者の感染を招いているのか、周辺の病院やクリニックでの院内感染を耳にすることが増えました。
第2波までは、基礎疾患のある高齢者のクラスターが発生しても、その多くは悪化することなく施設に帰って行くことができました。しかし、今回の第3波は、両肺全体にすりガラス陰影を有したやや若年層(50~70歳代)の肺炎が多く、想定よりも高い割合(3~5割)で酸素療法が適用されている状況です。中国で初期から報告されていたように、コントロール不良糖尿病、循環器疾患、肥満は重症化の強いリスク因子であると痛感しています。
挿管・人工呼吸管理した患者さんは重症病床へ転院することになりますが、2020年11月23日時点で、大阪府の人工呼吸器装着件数は第1波の水準を超え、全国で一番多いという状況にあります(図)。重症病床稼働率は4~5割の水準ですが、実運用ベースでみると約7割の水準に到達しています(詳しい事情は割愛します)。12月に「大阪コロナ重症センター」が開設されるとはいえ、さすがに現場は限界を迎えつつあります。
新規感染者数が増えて、しばらく経ってから入院患者数・重症患者数のピークがやってきますから、現時点11月23日はまだ最悪期ではない可能性があります。
府内では人工呼吸器から離脱できた患者さんをすぐに中等症病床へ戻さないと、次の重症患者さんが重症病床へ入れないという事態が起こり始めています。中等症病床で挿管・人工呼吸管理患者を今後診ていく可能性もありますが、最悪の場合、人工呼吸器を装着する症例の選別が起こりかねません。
テレビに映る観光地の光景を見ていると、人出はまったく減っていないようで、第3波のピークアウトはまだなのかもしれません。
by otowelt
| 2020-11-23 11:27
| 感染症全般