COPDの栄養


・呼吸運動に必要とするエネルギーは1日150kcal程度である。
 しかし、呼吸数が2倍になると必要エネルギーは4倍(600kcal)
 3倍になると10倍(1500kcal)にも達すると言われている。

・COPDでは呼吸筋疲労による代謝亢進によりエネルギー消費量が亢進している。
De Godoy I,Donahoe M,Galhoun WJ et al: Elevated TNF-α production by peripheral blood monocytes and. weight-losing COPD patients. Am J Respir Crit Care Med153:633-637,1996
・体力、食欲の低下により栄養障害に陥っている可能性が高い。
・栄養障害により呼吸器感染症のリスクは増大する。
・体重減少の程度は独立した予後規定因子であり、栄養状態改善による
 体重増加が重要な役割を果たす。
Marquis K, Debigare R,Maltais F et al. Midthigh muscle cross-sectional area is a better predictor of mortality. than body mass index in patients with chronic obstructive pulmonary disease. Am J Respir Crit Care Med. 166:809-813,2002
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●カロリー源と窒素源
・栄養管理の原則は,栄養必要量に見合ったカロリーと窒素源を
 どの栄養素に求め,どれだけ投与するかが主要な問題となる。
・体重増加を目的とする場合は,非蛋白カロリーとして
 安静時エネルギー消費量(REE)の1.5倍以上のカロリー投与が必要である。
 窒素源としては,分枝鎖アミノ酸が異化抑制・蛋白合成促進などの代謝調節
 作用から有効である。

●脂質とカロリー
・呼吸商が高い食事では、多くの二酸化炭素を体外に排出する必要が出てくる。
 呼吸商を低く抑え肺が二酸化炭素を排出する仕事の負担をできるだけ
 軽くする工夫が必要である。
・そのため脂質の比率を通常よりもアップさせることが重要になる。
Effect of supplementing a high-fat, low-carbohydrate enteral formula in COPD patients. Cai B. et al: Nutrition 19:229-32, 2003.
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★プルモケア
・たんぱく質16.7%、脂質55.2%、糖質28.1%
・ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンを強化
・375kcal/缶
・吸収されやすいMCT(中鎖トリグリセリド)
・中鎖脂肪酸のトリグリセリド (MCT)は吸収されやすく、体内輸送系も
 長鎖脂肪酸と異なり速やかに代謝される。
・飲みやすいカスタード風味
・メーカー希望小売価格3780円/12缶
Angelillo et al. Effects of low and high carbohydrate feedings in ambulatory patients with chronic. obstructive pulmonary disease and chronic hypercapnia. Ann Int Med. 103:883-885, 1985.

★ライフロンQL
・たんぱく質16%:脂質44%:炭水化物40%
・1パックあたり200kcal(1.6kcal/mL)
・メーカー希望小売価格3402円/12パック

●ビタミンとCOPD
・抗酸化物質であるビタミンEが喫煙者の肺胞洗浄液で減少している。
・確かにベータカロチンやビタミンEを多く摂取している患者では
 COPDや急性増悪の頻度は少ないと言われているが明らかなエビデンスはない。
・「SMP30」というビタミンCを合成するタンパクを作れないよう遺伝子操作
 したマウスに、タバコを吸わせた。このマウスの肺を解剖して調べたところ、
 タバコを吸わせないマウスに比べ3倍早い2ヶ月でCOPDになった。
 これも明らかなエビデンスはない。

by otowelt | 2009-02-18 08:42 | レクチャー

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