RS3PE症候群


●RS3PE症候群とは
1985年、McCartyらがRAとして加療していた患者のうち、
高齢者で急性発症の多発関節炎・手指滑膜炎に加え、
両手指、足背にpitting edemaをきたし、さらにRF陰性で
予後不良の一群を、remitting seronegative symmetrical
synovitis with pitting edema(RS3PE)という疾患概念で
報告した。当初疾患独立性は異論があったが、
現在では一つの症候群として認知されている。

●特徴
・高齢(60歳以上)
・急性発症
・多発性対称性関節炎、手指腱滑膜炎(tenosynovotis)
・両手背、足背のpitting edema
・CRP上昇、赤沈亢進、RF陰性、骨X線正常、
・ガリウムシンチ・骨シンチで多発性対称性関節集積
・MRIで手指や足の腱滑膜炎の所見
・少量ステロイド著効
・短期間で寛解し再燃はまれだが、他の膠原病に移行することも。
・関節破壊をきたさない。
・悪性腫瘍を合併することがある。

●疫学
発症年齢はほぼ全例60歳以上である。特に70~80歳に多い。
海外の論文では男性に多い(2~4:1)とされているが、
本邦では逆に女性にやや多い(1:1.5~2)。
福田孝昭:RS3PE症候群. リウマチ科26:379, 2001

●症状
・急性発症で、PMRに類似
・多発性対称性の関節痛・腫脹
   MCP、PIPに加え肩・股・膝・足など全身関節に及ぶ。
・手や足の腱滑膜炎とともに両手足背のpitting edemaをきたす
   手背に比べて足背浮腫は必ずしも出現せず、海外では手背のみの浮腫例も多い
   浮腫は腱鞘の滑膜炎により生じるとされている。
   手の伸筋腱、屈筋腱に炎症をきたす。
   屈筋腱よりも伸筋腱の方が高頻度に炎症をきたす。
・発熱は一般的に少ないとされているが、日本では50~60%に
 認められたとの報告もある。
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●検査所見
・CRP高値
 CRP20以上の例も報告されている
・赤沈亢進
・RF陰性(定義上)
・抗核抗体はしばしば陽性(~30%)
。白血球はRAよりは低値(正常~15000)
HLAB7陽性が当初指摘されていたが、その後無関係と判明

・骨X線写真は通常正常
・ガリウムシンチや骨シンチでは多発性対称性に
 炎症関節への集積がみられる。
・手のMRI所見では手指の伸筋腱および屈筋腱の腱鞘炎が
 特徴的な所見で、T2強調画像で腱鞘内の浸出液を示す
 high intensity

●治療・予後
・プレドニゾロン10mg/日程度で著効する
・pitting edemaは1~2週間で消失する
・関節症状も数週間から2ヶ月ほどで寛解
・NSAIDsは一般に効果が乏しい

・予後は良好で、関節破壊はきたさない
・屈筋腱鞘炎により指の屈曲拘縮をきたすこともある。
・ステロイドの減量により再燃することもある(10~20%)。

●鑑別診断
PMRおよび高齢発症のRAとの鑑別が困難
重要な鑑別点
 ・RS3PE症候群ではpitting edemaがみられるが、PMRでは
  みられにくい。(みられることもあるため鑑別はやはり難しい)
 ・RS3PE症候群では肩関節痛はあるがPMRのような
  筋肉痛はない。
 ・高齢発症のRAは若年に比べて急性発症が多く、RF陰性例
  が多い。鑑別はMRIで腱鞘炎がRAではみられないこと。
  またRAでは短期間で寛解することはない。

●悪性腫瘍
RS3PE症候群が悪性腫瘍随伴発症する報告が増えており、
paraneoplastic syndromeとしても注目されている。
悪性腫瘍と合併する場合、両疾患の出現時期は近く、
RS3PE症候群の発症が同時または数ヶ月早いケースが多い。
ステロイド反応性は通常RS3PE症候群よりも悪い。

by otowelt | 2009-02-19 13:51 | レクチャー

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